笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字944は「工」。日本は人工中絶が多いってびっくりだ

今日の漢字は「工」。工場、工芸、大工、図工、加工、斎藤工

 

   昨日に続き、中野信子「不倫」から。最新科学から不倫を解き明かす意欲的な作品であったが、知らいないことが多すぎるから紹介したい。

 

   日本は実は中絶大国である。日本では人工中絶が年間に18万件も発生している。年間の出生数が約100万件であることを考えると、本来なら生まれてくるはずの子供の約2割が生まれてこなかった計算になり、この割合は世界トップクラス。今はそれでもかなり減少したようで、1990年代は年間30万件を突破していた。

 

    中野氏は、日本での中絶数が多い理由として、婚外子が育てにくい社会システムを指摘する。婚外子に対する差別や、社会的偏見も厳しい。人工中絶がこれほど多いのは、不倫が原因なのか、経済的理由で産めないのか、(高校生など)年齢が低すぎて産めないのか、原因はわからない。

    中野氏は、もし不倫の末の婚外子で、「未婚の母」だとするならば、婚外子を社会的に容認し、妊娠した女性が中絶ではなく、出産・子育てを選べるような社会制度を充実させるべきだと述べている。

 

   そこで、彼女はフランスの事例を紹介。フランスは婚外子への差別を無くすことで出生率を高め、成功している。婚外子はフランスでは新生児の5割を占める。法的に婚外子を認めただけでなく、企業の産休を法制化したり、妊婦の医療費をゼロにした。こうして産みやすく・育てやすい社会づくりに努めた結果、出生率は、2010年に2.00まで復活している。

 

    フランスはたとえ不倫の末に生まれた子供であっても、社会的に認められるが、閉鎖的・封建的な日本ではとても難しい。そもそも日本人は、「恋愛と結婚と生殖は一体のものである」を絶対視している。つまり「子供ができたら、結婚するのが当たり前」と解釈する。

    しかし世界の他の国では、「女性が妊娠したら結婚するのが当たり前」ではない。世界では、非嫡出子の割合は、フランス49%、英国43%、米国38%、チリでは実に70%。これに対し、日本はわずか2%。結局産むことができずに中絶される子供が日本ではいかに多いかがわかる。

 

   中野氏は、「たとえ不倫相手の子供であっても産んでいい、育てていいという意思があるならそれを尊重し、適応する社会を作るのは、政治の役割。社会と政治が協働して、恋愛、結婚、生殖のバランスを変えていくことは、不可能ではない」という。

 

   まさの主帳の通りであり、少子化を嘆く前に、他の国で出生率を高めるために行っている政策を参考にしながら法制化を含めて政治主導で行うのは勿論だが、「不倫はいけない。不倫の子供はけしからん」という儒教的な発想を転換し、さまざまな生き方を許容する社会づくりも必要だと思う。

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ガラス細工は美しい