笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字912は「暦」。還暦世代注目の「老後の資金がありません」

今日の漢字は「暦」。暦年、西暦、旧暦、太陽暦延暦寺

 

映画「老後の資金がありません」を見てきた。還暦世代にとって、老後のお金の問題は切実。何か新たなヒントや留意点があるのかないのか、コメディ映画とはいいながらテーマがお金だけに、興味津々で見に行った。

 

    普段は見たい映画がある場合、事前にヤフーシネマで下調べし、レビューの評価の高いものを厳選して見に行く。しかし今回は予備知識なく、事前の情報収集も全くせずに映画館に足を運んだ。たとえスカの映画であったとしても、身近な問題だから授業料とすればいいとの思いがあったが、結果的に楽しく鑑賞できた。

 

    映画のストーリーは、お金にまつわるさまざまな難題が、松重豊天海祐希が演じる50代の夫婦に降りかかり、その都度出費が嵩んで家計が大混乱に陥るというもの。義父の葬儀費用の捻出から始まり、夫の失業、義母との同居、娘が親が金持ちの息子と結婚して結婚式資金の確保、義母がオレオレ詐欺で大金を搾取されるなど。事件のたびに出費が増え、老後のための貯金がどんどん目減りし、天海はそのたびにため息をつく。

 

    起きる事件は、今の社会が抱える問題を凝縮した内容である。同居する義母が元気なところにまだ救いがあるが、これに介護問題が出てくるとシナリオは一気に辛気臭くなる。だから敢えて介護には触れていないが、総じて高齢化社会に向け、現役世代がお金とどう向き合うか、問題提起をしている。葬儀シーンでは、天海の義父(松重豊の父親)が老舗和菓子屋であることから、300万円の派手な葬儀をしたところ、参列者の読みが甘く、大赤字になる。90歳にもなれば、知人も亡くなっていていないから、そんな派手な葬儀は必要がなく、葬儀で見栄を張ることの虚しさを暗に示唆している。また、娘役の新川優愛がヘ年収150万円のビメタバンドマンの加藤諒と600万円の挙式を挙げるとして親に資金援助を求める。これも地味婚主流の今においては、ド派手な結婚式は時代遅れ。これも親の見栄の愚かさをアンチテーゼとして描いている。

 

    結局言いたいことは、世の中何が起きるかわからない時代においては、見栄を捨て、身の丈にあった生活をしろということなのである。平均寿命が短い時代は、多少の見栄を張っても70代で死んだので問題なかったが、人生100年時代を考えたら、見栄でお金を使っている場合ではない。お金が尽きて野垂れ死ぬことが一番恐ろしいのである。

 

    老後の不安=お金の不安は、いつまで生きるか全く予測がつかない中、最後はお金が無くなって大変なことになる不安なのである。「悠々自適」「晴耕雨読」「老後はのんびり過ごす」と言われた時代は寿命70年時代の言葉であり、100歳までの30年をいかに経済不安が無く過ごせるかが永遠のテーマなのである。

 

    ありきたりな結論かもしれないが、人と比較して見栄や虚勢を張るのではなく、自分らしく生きることを目的に、自分のやりたいことを無理のない範囲でやり、将来のことを考えながらつつましく生きつつ、ささやかな楽しみを見つけて人生を謳歌する。結局はそれに尽きるのだと思う。

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