今日の漢字875は「下」。北九州から下関までを歩いて渡る
今日の漢字は「下」。下級生、下品、川下、下見、降下、低下、下田市。
福岡から本州に渡って山口県。下関のふぐ、関門海峡、城下町萩、長州藩、錦帯橋、巌流島。中国地方の西の端。文化的には広島寄りというよりは、福岡寄りではないかと勝手に想像。
そんな山口の下関には、九州側から入国した。それも徒歩で。
通常はJRの関門トンネルか、車で関門大橋を渡るのがパターンだが、私は電車に乗ってトンネルに潜るのは面白味に欠けるとして、歩行者用のトンネルで関門海峡を渡ることとした。
その名も関門トンネル人道。全長780mで、人と自転車が通行できる。歩いて九州から本州に入るのはオツではないかと、変わった旅を自認する自己満足感からか、北九州は門司駅へと向かう。
当時はスマホなどがないから、地図のガイドブックを頼りにトンネル入り口を目指す。しかし道に迷い、なかなか入り口が見つけられない。ふと斜め上の丘の方に、大きな駐車場がある。何かのドライブインか。土産物店もありそうなので、ここで店員に聞いてみよう。駐車場までの急斜面をかけあがり、フェンスをよじ登って越え、駐車場にある土産物店に入った。
私は、「すいません。関門海峡を徒歩で渡る人道トンネルの入り口はどのへんでしょうか」とおばさん店員に聞いた。
店員「はあ?トンネル?」
私「そうです。歩いて下関に渡りたいんです」
店員「あなた、車じゃないの」
私「徒歩です」
店員「ここまでどうやって来たの?」」
私「下の道から斜面を登って、フェンスを乗り越えて来ました」
店員はびっくりして、「ここは高速道路のパーキングエリアよ。徒歩の旅行者が入っちゃだめでしょ」
こっぴどく叱られた。
私が行った場所は、本来車でしか入れないパーキングエリアで、フェンスを乗り越えれば、不審者になってしまう。
店員「早くここから出なきゃ。この裏の斜面を降りて右の方向に行くとトンネルの入り口があるから、そこから入れるわ」と少し焦ったような口調でまくしたてた。
私は「はあ、ありがとうございます」とひと言い、そそくさと売店を後にし、またフェンスを乗り越えて、言われた通りの方向に進み、トンネルを見つけた。
あー一気に疲れた。ここからさらに800mも下関まで歩くのかと思うとうんざりだったが、気を取り直して、いざ、本州に入国しよう。
人道トンネル自体は普通の地下歩道。電灯もついていて明るく、しかも意外に歩行者が歩いているし、自転車にもすれ違った。健康のために散歩している人が多い雰囲気だった。
関門トンネルを歩き終えたあと向かったのは、下関の火の山公園。この山にロープウェイで上り、山の頂上から見る関門海峡は絶景であった。海峡自体は狭く、この間を多くの船が犇めいている。源氏や平家らも戦ったこの地は今も変わらず穏やかな陽光を受けてキラキラした波間を漂わせていた。疲れた体に癒やされた関門海峡の旅であった。
さて、山口のサッカーはレノファ山口。オレンジ色を基調とするユニフォーム。レノファはレノベーション(維新)とファイト(戦う)を足した造語。山口県は、県庁所在地の山口市よりも、下関市の方が人口が多い。本拠地は下関の方が、営業的にはいいのだろうが、そうなると山口県全体でレノファを応援しようという一体感が薄れる。山口県の丁度中間地点に位置する山口市だからこそいいのだろう。