笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字848は「刀」。刀にまつわる言葉は多い

今日の漢字は「刀」。刀剣、剃刀、執刀、太刀、竹刀。

 

   日本には、日本刀由来の言葉が多い。日頃何気なく使用している言葉も、刀から来ていると思えば、面白い。

 

「伝家の宝刀」。代々伝えられた名刀をいよいよ使わざるを得ないシーン。ここぞという時に、とっておきの手段で相手をやっつけるということ。

    よく使われるシーンは、野球でピッチャーがフォークボールを投げる際、実況のアナウンサーが「伝家の宝刀フォークボールが冴え渡る」というケース。

 

「土壇場」。首を切る刑場。首を切る際に刀が使用されたことから、刀との関係が深い。最近普通に使われる「ドタキャン」も、元を正せば土壇場のキャンセルと使われるが、この場合の土壇場は、決断を迫られる最後の場面。決断を迫られる最後の場面でキャンセルというのもせつない行動ではある。

 

「鎬を削る」。鎬(しのぎ)とは、刀の先の盛り上がった稜線。お互いに刀で激しく打ち合うと、この盛り上がった部分は削れてしまうから、激しく打ち合うことを「鎬を削る」と言った。

    「札幌駅近辺は、ビックカメラヨドバシカメラなど多くの家電量販店が鎬を削る」

という例文で使う。

 

「そりが合わない」。微妙にカーブを描く刀の「そり」の合っていない刀身が、鞘にうまく収まらない状態。転じて、考え方や意見が合わないことや、相性が合わないことを「そりが合わない」。「うちの社長と専務では全く反りが合わない」。

 

「鍔競り合い」。刀のつばは、刀剣の柄と刀身の間にはさみ、刀を握る手を防護する部位。その鍔をぶつけ合い、決着がつかなくなるまで戦うさま。「優勝した○○高校は、逆転、また逆転のシーソーゲームの鍔競り合いを制した」

 

「抜き打ち」。どこからでも刀を抜いて斬りかかること。この文言は、ほぼ「抜き打ち試験」「抜き打ち検査」などのシーンで使われる。高校生活を送ったほとんどの生徒は抜き打ち試験を経験しているのではないか。先生にしてみれば、何もせず一コマの授業を終えられるので楽な作業ではあるが、生徒にしてみたら、いきなり試験用紙が配られると、焦りと怒りが噴出する場面である。

 

「火花を散らせる」。刀の金属が激しくぶつかり合って、火花が出ること。それくらい激しく戦うさま。

   若い頃はお互いの意見をぶつけて、火花を散らせたものだ。

 

   他にも、「太刀打ちできない」「相槌を打つ」「とんちんかん」「切羽つまる」「目貫通り」「付け焼き刃」など、刀にまつわる慣用句は実に多い。普段何気なく使っている言葉も、300年以上も前から使われてきたことを思うと、言葉の歴史は深いと感慨に耽ってしまう。

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伊武雅刀は元気なのだろうか