笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字831は「十」。人生十五番勝負を考えた

今日の漢字は「十」。十分、十全、二十歳、柳生十兵衛五十嵐浩晃

 

   嵐山光三郎の「不良定年」というエッセイに興味深い記述があった。

   それは人生を大相撲にたとえ、十五番勝負で振り返るというもの。

   人が現役でいられるのを75歳とする。それ以上生きればおまけ。ちなみに嵐山氏の父は86歳で没したが「75歳からあとの日は俳句の字余りみたいなものだ。字余りの味がある」と自慢していたようだ。だから嵐山氏は、父の余分に生きた11年はおまけの人生だったと納得する。

 

   75歳で十五番勝負するとなると、5年間がひと勝負となる。

   そこで嵐山氏は、60歳断面で何勝何敗かを計算した。

初日(1~5歳)生まれてきたから勝ち

二日目(6~10歳)負け 敗戦国家で食うものが無かったから

三(11~15)日本は復興したから勝ち

四(16~20)怠惰な生活をしすぎて負け

五(20~25)平凡社という出版社に入り、人生の運が向いた 勝ち

六(26~30)自分の能力を過信しすぎて同僚や友人に疎まれる 負け

七(31~35)雑誌「太陽」の編集長となり、絶頂期で勝ち

八(36~40)平凡社が経営危機になり、退職。天国から地獄の負け

九(41~45)個人事務所の青人社を立ち上げる。勝ち

十(46~50)46歳で大吐血し、九死に一生を得る。負け

十一(51~55)体調が悪く、ろくなことがなく、負け

十二(56~60)青人社を辞め、執筆に専念して著書がベストセラー 勝ち

と、ここまで6勝6敗。残りを三連勝すれば9勝6敗で敢闘賞レベルだが、残りを一勝二敗なら人生15番勝負は負け越しとなる。残り三番勝負を二勝一敗でいくため、75歳までは生きたいと述べている。この本が出版されたのが2005年、今嵐山氏は80歳近くだから、その結果を聞いてみたいところである。(どこかのエッセイでは書いているかもしれない)

 

   さて、では我が身で15番を考えたらどうなのか。嵐山氏と同じ60歳までの十二番勝負として、つらつらと昔を振り返った。負けは三番の中学生でいじめにあったこと、四番の大学受験失敗の負けの青春の苦い思い出。あとは45歳以降の十~十二番。これはリーマンショック東日本大震災とそれ以降の不況の波をもろにかぶり、会社はすっかり元気がないことや、自分自身出世の芽が全くなくなったこと、さらに大病を経験したことで、三番連続の負け。ただ、それ以外の青年期から中年前期は比較的大過なく過ごしてきた。だから7勝5敗。あと一番で勝ち越しと考えれば、まあまあの成績と自画自賛する。しかしこのあとの三番は全くの闇で、定年後に待ち構えるのは光か影か。しかも75歳まで生きる保障も全くない。嵐山氏ほどのドラマチックな人生展開ではないが、最後に勝ち越せばいいと思えば気が楽というのもある。少なくとも15番戦える75歳までは何とか生き、休場や引退することがないように過ごしたいものである。

f:id:laughing-egao:20210822174228j:plain

たまにカラオケで十八番(おはこ)を唄いたい