今日の漢字831は「十」。人生十五番勝負を考えた
今日の漢字は「十」。十分、十全、二十歳、柳生十兵衛、五十嵐浩晃。
嵐山光三郎の「不良定年」というエッセイに興味深い記述があった。
それは人生を大相撲にたとえ、十五番勝負で振り返るというもの。
人が現役でいられるのを75歳とする。それ以上生きればおまけ。ちなみに嵐山氏の父は86歳で没したが「75歳からあとの日は俳句の字余りみたいなものだ。字余りの味がある」と自慢していたようだ。だから嵐山氏は、父の余分に生きた11年はおまけの人生だったと納得する。
75歳で十五番勝負するとなると、5年間がひと勝負となる。
そこで嵐山氏は、60歳断面で何勝何敗かを計算した。
初日(1~5歳)生まれてきたから勝ち
二日目(6~10歳)負け 敗戦国家で食うものが無かったから
三(11~15)日本は復興したから勝ち
四(16~20)怠惰な生活をしすぎて負け
五(20~25)平凡社という出版社に入り、人生の運が向いた 勝ち
六(26~30)自分の能力を過信しすぎて同僚や友人に疎まれる 負け
七(31~35)雑誌「太陽」の編集長となり、絶頂期で勝ち
八(36~40)平凡社が経営危機になり、退職。天国から地獄の負け
九(41~45)個人事務所の青人社を立ち上げる。勝ち
十(46~50)46歳で大吐血し、九死に一生を得る。負け
十一(51~55)体調が悪く、ろくなことがなく、負け
十二(56~60)青人社を辞め、執筆に専念して著書がベストセラー 勝ち
と、ここまで6勝6敗。残りを三連勝すれば9勝6敗で敢闘賞レベルだが、残りを一勝二敗なら人生15番勝負は負け越しとなる。残り三番勝負を二勝一敗でいくため、75歳までは生きたいと述べている。この本が出版されたのが2005年、今嵐山氏は80歳近くだから、その結果を聞いてみたいところである。(どこかのエッセイでは書いているかもしれない)
さて、では我が身で15番を考えたらどうなのか。嵐山氏と同じ60歳までの十二番勝負として、つらつらと昔を振り返った。負けは三番の中学生でいじめにあったこと、四番の大学受験失敗の負けの青春の苦い思い出。あとは45歳以降の十~十二番。これはリーマンショックや東日本大震災とそれ以降の不況の波をもろにかぶり、会社はすっかり元気がないことや、自分自身出世の芽が全くなくなったこと、さらに大病を経験したことで、三番連続の負け。ただ、それ以外の青年期から中年前期は比較的大過なく過ごしてきた。だから7勝5敗。あと一番で勝ち越しと考えれば、まあまあの成績と自画自賛する。しかしこのあとの三番は全くの闇で、定年後に待ち構えるのは光か影か。しかも75歳まで生きる保障も全くない。嵐山氏ほどのドラマチックな人生展開ではないが、最後に勝ち越せばいいと思えば気が楽というのもある。少なくとも15番戦える75歳までは何とか生き、休場や引退することがないように過ごしたいものである。