笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字819は「刹」。山寺は古刹にふさわしい

今日の漢字は「刹」。古刹、名刹

 

古刹、名刹は、当たり前だが、古い寺や有名なお寺。

日本に寺院は7万社。神社は8万社あるという。

 

   古刹名刹を使う場合はなぜか寺院が多いような気がするが、気のせいだろうか。

    観光をすると、大概その土地の名刹、いわゆる有名どころの寺院を巡ることが多い。

 

    日本で一番有名な浅草の浅草寺はいうに及ばず、京都の各お寺郡や、奈良県東大寺法隆寺、長野県の善光寺福井県永平寺滋賀県比叡山延暦寺

    京都で4年間過ごしたせいか、毎日寺院を見る生活が根付き、違和感なく受け入れていた。だから旅行でどこかに行くと、必ず神社仏閣があるかどうかをチェックしてしまう。旅行でその日のうちに寺院と神社を参るという節操のない行為も、神仏習合の日本ならではと屁理屈をつける有様。そのお寺の宗派もさっぱりわからないのに、お参りしてご利益を得ようとする身勝手な自分である。

 

    どこも観光客どっさりの寺院が多い中で、静かであるがゆえに比較的強く印象に残っているのが山形の山寺。正式名称立石寺。西暦860年の平安時代開山とまさに古刹である。

   奥の細道松尾芭蕉が「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」の名句を詠んだ箇所でもある。

    山の中に階段が続き、絶景を望む五大堂という場所まで、1050段の階段を登る必要がある。

 

5年前、いつかは登りたいとの念願が叶い、立石寺を訪問した。

山形駅から仙台行きの電車で20分ほどで着く。山間に小さな集落が広がる。

お寺に行く前に、麓の売店で力をつける「力こんにゃく」を食べる。何もつけないシンプルなものだったが、何となく力がついたように思う。

 

   麓の本堂でお参りしたのち、芭蕉の句碑をみつつ、階段を上る。それほど健脚ではなく、すぐ息があがる。参拝者はそれほど多くないため、行き交うストレスはないが、じわじわと重力の重みが足にくる。途中休み休みなんとか1050段を登りきった。

 

   五大堂から見る町並みは確かに絶景。山間に広がる集落と田園風景はのどかではあるが、平安時代の人々も同じ景色を見ていたかと思うと感慨深い。来てよかったと自分を褒めたくなる瞬間である。

 

下山はあっさりと駆け降りるように下ったが、およそ1時間半、楽しいハイキングであった。

 

    余談だが、映画「3月のライオン」のラストシーンで、将棋の対局場所にこの五大堂が登場する。映画ではさらりと対局が始まる様子が描かれるが、私はこれを見て監督はマゾではないかと思ってしまった。なぜかというと、そこまで撮影機材を運ぶだけでも大変。照明器具もいるし、電源も必要。1050段を機材を担ぐのは地獄である。そんな撮影スタッフの気苦労込みで撮影しても、編集されるのはほんの数分。私は山寺に行っていたから気づいたが、観客がどこまでこの場所を認識しているか。監督の自己満足ではないかと思った次第である。

 

    ただ、もう一度山寺に行きたいかと問われれば、NOであろう。また1050段を好んで登りたいとは口が避けても言えない自分がいる。

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名刹ナンバーワンは清水寺