笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字815は「酒」。酒蔵のお酒は美味しい

今日の漢字は「酒」。酒場、酒盛り。

 

   お酒自体を飲まなくなって久しいが、たまに飲みたくなることがあり、夢に出てくることもある。自分が決めたことなので仕方がないが、潜在意識の中ではまだお酒が飲みたいようである。

    青森に一時期住んでいた時は、まだ少し嗜む程度にビールや日本酒を飲んでいた。青森は日本酒文化でまあ日本酒を飲む人が多かった。ついていくのにやっとだった。

    反面、北海道人は日本酒というより、ビール、ワイン、焼酎と特にこだわりがない。平均的に何でも飲むイメージである。日本酒を普段から飲む文化ではなく、東北地域ほど根付いていないが、北海道にもそれなりの蔵元はある。

 

    有名なのは、旭川にある高砂酒造と男山酒造の2大酒造メーカー。大雪山から湧き出る水を使い、おいしい日本酒を創る。また、釧路には福司酒造がある。釧路で日本酒というのでイメージが沸かないが、札幌の居酒屋でも福司を置いている店は多い。

 

    そんななかで異色なのは、増毛町にある國稀酒造。北海道中西部の日本海側人口わずか数千人の小さな町に、銘酒「國稀」の名前を道内に轟かせる酒蔵がある。増毛という町名自体、髪の薄い人やアデランス愛好家からは羨望の眼差しでみられるが、アイヌ語で「かもめの多いまち〜マシュキニ」から来ている。はっきり言って寒村のような寂しい町に、北海道人で知らない人がいないというくらい有名なお酒があるから不思議である。大概のサラリーマンは学生時代はその名前を知らずとも、会社の先輩から必ず國稀の話を聞かされる。私も学生時代までは國稀の存在を知らなかったが、会社の日本酒通の先輩から「国稀はうまいぞ」とさんざん聞かされていた。居酒屋でも飲んだことがあったから、いつかは酒蔵に行きたいと思っていた。

 

    ある時、そんなチャンスが訪れた。会社で部長と課長、ヒラの私の3人が留萌市に出張することがあった。増毛は留萌から車で南に30分ほど。これまた部長は日本酒党で、「せっかく留萌に行くのだから、増毛まで足を伸ばし、酒蔵見学しよう」と嬉しそうに話す。出張先での仕事を早めに切り上げ、夕刻、私が運転手で國稀酒造に向かった。たまたま酒蔵はお客さんがおらず、お店の方がせっかく札幌から来たのだからといって蔵の中を案内してくれた。日本酒ができる過程を丁寧に説明してくれたほか、それぞれの工程の樽の中のお酒をそれぞれ試飲させてくれた。まだ発酵前の状態から、次第に熟成されていく各樽を、部長と課長は美味しそうに試飲していく。ほんのりと酒臭くなっていく上司二人を横目に、私は運転手であることを呪っていたのであった。

 

    いつかは國稀で試飲してやろうとリベンジを誓い酒造を後にしたものの、それ以後、國稀酒造を訪れることなく終わっている。というより、今はお酒を止めたので、日本酒に興味がなくなったし、もう國稀酒造に行くことがないだろう。もしあの時試飲をしていれば、あの美味しいお酒のイメージがずっと頭の中に残ったのにと思うと、とても残念である。

f:id:laughing-egao:20210806202854j:plain

山形県酒田市に行ってみたい