笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字803は「巡」。郷土館巡りも面白い

今日の漢字は「巡」。巡礼、巡回、巡業、巡査。

 

   ○○巡りという趣味形態がある。要するに百名山、名所旧跡、神社仏閣、偉人のお墓、映画のロケ地など。そんな○○巡りにまつわる話。

 

    個人的に博物館、郷土館巡りに一時期ハマっていた。どこの街にも郷土館は存在し、その街の風土、歴史、産業などについてわかりやすく展示している。そんな北海道の郷土館巡りで記憶に残った場所を挙げてみよう。

 

    岩内町郷土館。北海道北西部、後志半島の付け根の町、岩内町は明治時代に、にしん漁で栄えた。豪商も数多くいて、料亭や遊郭など往時をしのばせる展示が充実している。その中で際立つのが、夏目漱石が本籍を岩内に置いていたこと。その証拠に、夏目漱石の戸籍謄本が展示されている。夏目漱石は、理由は定かではないが、知り合いが岩内にいたらしく、書類上は岩内町民であった。しかし実際は住んでいなかったようだ。こんな北の最果ての地に、明治の文豪の足跡があるから不思議である。

 

    三笠市立博物館 北海道中部、札幌から1時間半のところに三笠市という、以前は炭鉱で栄えた街がある。ここの博物館にあるのは、アンモナイト。この地は今は普通の陸地だが、太古の昔は海だった。だからあちこちでアンモナイトが出てくる。展示物はほぼアンモナイト。直径は50センチくらいはあるだろうか、巨大なアンモナイトがまるで石炭の塊のように所狭しとならんでいて圧巻。ちなみにここでは、「エゾミカサリュウ」という巨大トカゲも発掘されていて、古代太古のロマンを満喫できる。

 

    土の博物館「土の館」。上川地方の上富良野町というところにある土をテーマにした博物館。土で人が集まるのかという疑問が湧くが、「北海道の農地開墾」をテーマに、土の品種改良をしながら、優れた品質の農作物を作っていく歴史が学べる。専門的ではあるが、北海道開拓の裏事情が探れて興味深い。さらには特筆すべきは、歴代使われてきたトラクターが展示されていて、トラクターの歴史も学べること。60年代以上の人には懐かしいアメリカのトラクターメーカー「ジョン・ディア」社のトラクターもある。ジョン・ディア社は昭和40年代、ヰセキやクボタとともにトラクターのCMを流していた。トラクターマニアはそれほど存在しないとは思われるが、トラクターファンでなくともその数と種類に圧倒されることは間違いない。

 

    最後は、苫前町郷土資料館。中西部の日本海に面した町。このブログで何度も書いている羆襲撃事件があった地。明治初期に7人もの開拓者が死傷した恐ろしき「三毛別羆事件」は、ここ苫前町で起きた。この郷土資料館にはその事件を再現するビデオを上映していて、当時の模様を回顧できる。VTRに出てくる羆は当然着ぐるみだが、「人を襲って食べる」ストーリーそのものが衝撃的で、小さな子どもが見たら泣き出してしまうのではないかと思われるくらいよくできている。クマはティディベアやプーさんではない、実に恐ろしき動物だということをリアルに学べるから、子供にはぜひ見せるべきだと個人的には思っている。明治の北海道開拓民の苦悩が垣間見れるこの郷土館は、おすすめ度ナンバーワンである。

 

   北海道の郷土資料館は、歴史が浅い分、どうしても自然系や明治の開拓にスポットが当たりがちだが、本州以南の歴史の深い各地の郷土資料館を是非とも訪ねてみたいと常々思っている。

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