笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字801は「旋」。故郷に凱旋帰省を果たした錦鯉長谷川氏

今日の漢字は「旋」。旋回、旋風、螺旋、斡旋。

 

    鳴かず飛ばずという言葉がある。この言葉が当てはまる職業はお笑い芸人だろう。売れれば一躍時の人。売れなければずっと低空飛行で終わってしまう。芸能界は生き馬の目を抜く世界。魑魅魍魎が跋扈する世界で生き残っていくのは並大抵なことではないだろう。

 

    20年以上鳴かず飛ばずで、M-1グランプリを機にブレイクした芸人、それは錦鯉。その相方長谷川雅紀氏は49歳。まさに遅咲きの芸人である。

    彼は札幌出身で、先日何気なくテレビを見ていたら、地元ローカル局が長谷川氏に密着したドキュメンタリー番組を放送していた。その名も「帰省なう」。ブレイクした長谷川氏が故郷に錦を飾るのだが、実はその10年前にも同じ内容で長谷川氏を追いかけたドキュメンタリーを放送していた。その時長谷川氏はピン芸人で40歳。全く芽が出ずに40歳を超えた彼は、何年かぶりに故郷の札幌に帰って母親に会う。母親は不遇の息子にあまり声もかけられず、芸人を諦めてもらいたそうな雰囲気に対し、息子の長谷川氏は芸人を続けることを告げる。長谷川氏は母親を喜ばせられないことを悔やみ、空港の帰路の中、涙する。本心はやるせなさ、悔しさが渦巻いていたのであろう。母と子の葛藤が読みよれた。

 

    あれから10年。昨年のMー1グランプリの決勝に進出し、決勝進出者としては史上最高齢芸人として一気に人気に火がつき、ブレイクを果たす。

   そして今年、10年ぶりに相方の渡辺氏と札幌に凱旋帰省を果たす。再会した母親は満面の笑みで息子を迎える。母親は居酒屋を営んでいるが、一時期店を畳もうかと思っていたが、息子のテレビでの活躍を話題にする常連さんが増えたことで、店を続けることを決意する。まさに息子の活躍が母親に元気と勇気を与えたといえるだろう。

 

    人生が激変した息子を心配することも忘れない。「売れると売れたで心配の種は尽きない」母親は吐露する。いつまでも心配の種は尽きないのである。

    当の息子は、親孝行ができたことにひと安心。10年前の鳴かず飛ばずの自信のない自分は今はない。不遇を克服した彼には自信がみなぎっているのがテレビからも見てとれる。

 

    以上がドキュメンタリーの内容だが、劇的に人生が変わるドラスティックさが、芸能界にはある。錦鯉はたまたまうまく勝ち上がり、しかも決勝で破れたにもかかわらず人気に火がついた。史上最高齢という話題性はあったものの、運も味方につけた。決勝に勝ち上がっても売れない芸人は数多くいる。運も重要な要素なのである。さらに加えれば、M-1グランプリの参加組数5081組の中には、相変わらずの鳴かず飛ばずのお笑い芸人がどれほどいることか。勝者の陰には、恐ろしいくらいに多くの敗者がいることもまた、事実なのである。

 

    同じ同郷人として、長谷川氏の活躍は嬉しい限り。もっと活躍してもらい、同じ同郷人のタカアンドトシを凌駕するくらいの人気を博してほしいものである。

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就職のコネ斡旋は最近あまり聞かない