笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字750は「握」。有名人との握手の思い出

今日の漢字は「握」。把握、掌握、ハンドルを握る。

 

   有名人と握手することがあるだろうか。アイドルとの握手会など特殊なケースを除き、有名人と握手することはそうある話ではない。国会議員や市議会議員とは選挙期間中に握手することはあるが、それはある意味営業色が強い。そんな私の唯一の握手経験を。

 

   東京にいた時、広告代理店にいる知人から、読売ジャイアンツの慰安パーティの誘いを受けた。読売巨人軍の1年間の戦いを労うのと、ファンへの感謝の意を込めて謝恩パーティが開かれたもの。どこからかチケットを入手してきた知人に付いていき、運よくパーティ会場に潜り込めた。長嶋監督だけでなく、当時活躍していた松井秀喜や槇原、斎藤雅樹投手などの有名選手も多数参加していて、会場は華やかな雰囲気に包まれていた。

 

   私は知人から誘われたものの、ジャイアンツファンではなく、タイガースファンである。従って松井ら有名選手を見てもそれほど「スゲー」とはならなかった。ちなみに松井はまだ大リーグに行く前であり、もし大リーグから帰ってきた後だったら、サインをもらったかもしれない。

 

   会場では選手と一般人が一緒に写真撮影できるサービスがあった。使うカメラは昔懐かしいポラロイドカメラ。今なら自分のスマホでパチリだが、当時は携帯電話もようやく普及し始めた頃。私は知人と選手を囲んでポラロイド写真を撮影してもらった。確かその時は松井選手と斎藤選手だったと記憶している。せっかく撮影してもらった写真なのに、引っ越しとともにどこかに捨ててしまった。今思うと勿体ない。

 

   さて、会場では巨人の選手たちがスポットライトを浴び、どこもかしこもひっぱりだこだが、隅っこの方で手持ち無沙汰にしているおじさん軍団がいた。よくよく目を凝らして見ると、田淵、張本、衣笠の各氏だった。知人に聞くと、ラジオ解説者として出席しているとのこと。そうか、彼ら重鎮たちもプロ野球解説者として呼ばれているのかと納得すると同時に、私は何としても田淵氏に近づきたかった。30年来阪神ファンの私としては、タイガースの黄金期を支えたスラッガー田淵氏とはぜひお話ししたかった。知人とつかつかと寄っていき、大胆にも「田淵選手のファンだったんです。握手してください」と声をかけ、田淵氏も、「あーそうですか。いいですよ。私でいいんですか」と謙虚に右手を差し出してきてがっちり握手した。さすがに元野球選手だけあって、手は大きくゴツかった。私は「頑張ってください」とおきまりのフレーズを言い、話はそれだけで終わった。

 

   有名人との握手で思い出されるのはそれだけである。20年以上前のことだが、なぜか田淵氏と握手した記憶は忘れることができない。自分が阪神ファンというのもあるが、往年の大選手と握手できたことが強烈な印象となって残っている。

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人心を掌握してみたいものだ