笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字747は「欲」。アイドルにはまるのは性的欲求を満たすため

 

今日の漢字は「欲」。欲求、欲望、貪欲、物欲、食欲。

 

    アイドルグループに人気が集まるのは時代を象徴している。

    アイドルのコスチュームがファンを惹きつける。コスチュームの制服は、いわば隷属を象徴している。

    コスチュームという規範におとなしく従属しているかわいい女の子を男たちが目の前にすると、その子たちを自分が性的に支配できるかのような幻想を描く。

 

    彼女たちの若い艶のある肌、男を誘うような目線やセクシーポーズを見て、視聴者の男の脳はその若い子たちとの間に遺伝子を残したいと妄想する。そしてごく薄い濃度ではあるが、脳内麻薬を分泌させ気持ちよくなる。もし現実世界でその女の子たちを従属させて自分だけのものにしたら、大量に出てくるであろう快感物質が、ほんの微量だけ分泌する。男たちはその快感物質のために、コンサートに足繁く通ったり、映像で繰り返し観て気持ちよさを感じる。最近では自粛傾向の握手会なども、実際にアイドルに会うことで疑似恋愛を楽しむも同様である。

 

    アイドルは、本質的には性の対象の代替品としての存在ではあり、それを露骨に表現するのではなく、薄めて表現している。従って男たちはセックスに対して淡泊になったように見えても、性欲そのものが消えたわけではないので、アイドルという代替行為で欲求を満たしている。アイドルを見る行為自体は性欲という観点から見るととても薄いのだが、性の快感の一部になっている。アイドルを追っかけるのは、性風俗に行くとは違うが、男性にとっては明らかに性的ファンタジーを体験したいという欲求が働いている。今の社会は性的なものに限らず、あちこちに快感となるべきもので、かつ濃度を薄くしたものを四六時中まき散らしているのだ。

 

   外国人が日本に来ていろいろ経験する様を密着する番組があるが、よく見かけるのが、日本のアイドルを追っかける外国人。ユーチューブの普及で世界の津々浦々の映像が氾濫する中、日本のアイドルを偶然見て、ハマる外国人が多い。成田空港に到着した外国人にインタビューすると、アイドルのコンサートに行くケースが多い。中にはメイドカフェに行く輩もいる。これも推測するに、映像を通じて薄い性的欲求を満たすひとつの行動形態でないかと思う。

 

   生身の異性とわざわざ付き合わなくても、インターネットでエッチな画像を通じて性的快感が得られる時代。家にいながらにして様々な映像や情報に触れることで、それで十分満足できる。男性は基本妄想するのが好きな生き物という説もあり、自分のファンタジー中心の世界が心地よい。積極的に生身の女性に接すると、人間関係の中でお互いにぶつかったり、我慢したり、譲ったりする面倒なところがあるが、バーチャルだとそうしたわずらわしさもない。相手を気持ちよくさせてあげる必要もない。セックスにしてもゲームにしても居心地の良い二次元の殻に閉じこもり、三次元の世界を体験せず、かえってますます二次元の世界にはまっていく危うさを今の時代は秘めている。

参考文献:「小池龍之介さん、煩悩ってどうすればいいんですか」(小池龍之介

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物欲にまみれてはいけない