笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字746は「訓」。古典は人生訓の宝庫

今日の漢字は「訓」。訓示、教訓、家訓、訓練、訓読み。

 

   近藤康太郎という朝日新聞の記者がいる。九州の田舎にこもって狩猟をしながら記事や本を執筆する、一風変わったジャーナリストだが、同氏が「古典を読め」と主張している。(あらすじだけで人生の意味が全部わかる世界の古典13)                                                                                                                                                                         

   なぜそう言い切るのか。それは、古典は誰も読んでいないから。その考えの根底には、「成功する、幸せになるという方法は、人のしないことをする」に尽きると述べる。

 

    これから人々は、ますますネットやSNS、人脈を通じて情報を得ていく。逆に本を読む人はますます少なくなっていく。読むにしてもビジネス上で役立つ実用書や会話のきっかけになるベストセラー本。しかも電子書籍でサクサク読む傾向になっていく。紙の本で、しかも何百年も前の古典など読む人は化石人間と呼ばれる人種となる。だからこそ誰もやっていない行為、古典を読むことを薦める。

 

   筆者は、古典を読めば、営業トークなどで使えるという。なぜなら、

面白いから

誰も知らないから

人生訓の宝庫だから

   古典は何百年も生き残ってきた、すべらない話の山の宝庫。どこの会社の自称読書家に聞いたとしても、古典を読むバカなどいない。

「人の行く 裏に道あり 山の花」という株式投資の格言がある。それは、多数が熱狂して狙っている銘柄に群がるのではなく、隠れて放置されている銘柄を狙って儲けろという真理。それになぞえれば、誰も読んでいない「古典」こにそ、裏山に花があるのである。

 

   そして著者は、古典を読んだ後、売ってしまうのではなく、一生、手元に置く。さらにその古典がたとえ面白くなかったとしても、それは本のせいではなく、自分のせいだと断罪する。それは著者が言っているのではなく、人類の歴史が証明している。今も愛読される古典は、数百年も、国も時代も違う人々に読み継がれてきた名著の数々。間違いなく面白いし、読めばわかるように書いてある。いつか楽しめる日が必ず来る。

 

そして同氏は、古典読書術を指南する。

   古典を読まない人の言い訳は、「時間がない」こと。これは嘘八百の噴飯もの。1日15分でもいいから読書の時間を捻出し、その時間を古典の読書に振り向ける。必ず確保する。「カラマーゾフの兄弟」も数か月あれば読み終えられる。

1日2時間は本を開く。とにかく細切れ時間を作って、時間を拾っていけば2時間は捻出できる。その根拠は、世の中の忙しい経営者はほとんどが読書家だということが物語っている。

 

    何を読めばよいか悩む際は、読書ガイドに頼る。ガイドは古典群の大きな砂浜の中に光る石を見つけることを効率よく導いてくれる。限られた時間のなか、先人が感動したお薦め本を読むことで、時間の有効活用が可能となる。

 

   最後に、「読んで書く」。古典を読んで心に残った一文を書き留める。さっぱりわからなかった作品であっても、何かひっかかる一文は必ずある。それを書き残し、あとでもう一度読み返し、熟成させる。

 

    以上の近藤氏の主張を翻って自分に置き換えると、頭の痛い話である。今まで古典には全く触れてきていないということは、いわば普段「古典を読まないマジョリティ」だった。確かに古典はハードルが高く、なかなか手掛けていないことも事実。それにチャレンジすることで、裏の花山を見つけられるのか、人と違ったことをすることに幸せ感を見出せられるのか、近藤氏の言い分を検証してみるのもひとつの方法である。ただし、これから始めるのは長い時間との闘いのような気がして二の足を踏むのである。

f:id:laughing-egao:20210529163749j:plain

訓読みと音読みは外国人泣かせ