笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字738は「提」。一社提供番組は少ない

今日の漢字は「提」。提案、提示、提出、提携、前提。

 

   一社提供番組というのがある。30分番組にしても1時間番組にしても、スポンサーが1社しかつかない単独提供番組。単独だと、「この番組はこの企業がサポートしている」とのメッセージが明確であるために、企業イメージを向上させるのに有効である。また、スポンサーとして番組制作に口を挟みやすいというメリットもある。

 

    最近では一社提供番組がめっきり減ってしまった。以前あった番組として真っ先に思い出されるのは、TBS20時のナショナル月曜劇場。「明るーいナショナル、みんなのナショナルー、みんなーうちじゅうー、何でもナショーナールー」のジングルが流れると、さあ始まるぞと期待を込めてテレビの前に鎮座した。と言っても、この月曜劇場のほとんどが時代劇。「水戸黄門」「大岡越前」「江戸を斬る」などのワンパターン時代劇が3ヶ月ごとに代わる代わる放送されていた。我が家には時代劇大好きの祖父がいたから、月曜20時はナショナル劇場の時間。私は他の番組が見たかったが、年長者には敵わない。歯ぎしりしてぬぼーっと時代劇を見ていたものだ。

 

   ナショナルの松下電器もブランド名をパナソニックに統一したため、ナショナルブランドは姿を消した。心なしか、最近はパナソニックが提供している番組を見かけないように思う。

 

   一方家電ライバルの東芝は、TBS日曜21時の「東芝日曜劇場」とフジテレビ日曜18時30分の「サザエさん」。どちらも長らく東芝の一社提供であった。「技術を作る東芝の提供でお送りします」のサザエさんのナレーションが懐かしい。その東芝もどちらも番組スポンサーではなくなり、往時を知る私は少し寂しい気がしている。しかし東芝の冠が取れた日曜劇場は、フジテレビの月9と並んで、テレビドラマの双璧を為すブランド。「半沢直樹」のみならず「ノーサイドゲーム」「陸王」「下町ロケット」など、無骨で男臭いラインアップが特徴である。片や200年には「ビューティフルライフ」で木村拓哉常盤貴子のラブドラマで最高視聴率41%を記録している。

 

    さらに家電のライバル日立はTBS土曜21時「世界ふしぎ発見」を一社提供している。この番組はスタートが1986年と30年以上続いている長寿番組。日立のTVCM「この樹なんの樹気になる樹~」も30年以上続いている。よく仲間内でかけ事をする時に「じゃあスーパーひとし君をかけるわ」のフレーズで盛り上がった。番組の構成も30年ほとんど変わらず、ミステリーハンターが世界を駆けまわって回答者に難題を投げかける。これだけ多くの海外ロケをしている番組は、もはやこの番組以外にない。

    バブルの頃は「なるほどザ・ワールド」や「世界まるごとハウマッチ」など、海外ロケがふんだんに行われた番組が多かったが、番組の制作費が削られるなか、海外ロケで番組が作れる時代ではなくなった。そうした中、愚直に番組をサポートし続ける日立は凄い。製作費もかかるから提供料金も相当高いだろう。このご時世に大変かとは思うが、日立の社内では止めるに止められない伝説の番組と化しているのではないだろうか。ただ、もしこの番組が終われば、本当の意味で一社提供時代が終焉することを意味すると思う。

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提灯あんこうを食べたい