笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字737は「裕」。石原裕次郎記念館が昔存在した

今日の漢字は「裕」。余裕、裕福、富裕。

 

   有名人の記念館というのがある。

   今は無くなってしまったが、小樽に石原裕次郎記念館があった。昭和の大スター、石原裕次郎の衣装やら車やら映画のロケで使った小物類を展示していた。石原裕次郎が幼少の頃小樽に住んでいた縁から記念館が作られた。オープンが1991年とバブル末期。オープン当初は裕次郎見たさに年配者を中心にかなりの人が詰めかけた。私もオープンしたての裕次郎記念館にミーハー気分で訪れた。

   自分の中の石原裕次郎は銀幕のスターではなく、刑事ドラマ「太陽にほえろ」七曲警察署の藤堂警部のイメージしかない。従って展示品も今ひとつ共感できずに終わった。しかし、私の年代以上の人は食い入るように見ていたから、彼らにとっては、ドストライクのヒーローだったのだろう。

 

    そんな年配者に大人気の石原裕次郎ではあったが、時代の変遷とともに「裕次郎って誰?」の世代が増え、石原裕次郎記念館の来場者も激減。一時期インバウンドに活路を見出したが、中国人に石原裕次郎がわかろうはずもなく、いつしか閉館へと追い込まれた。一世を風靡した昭和の大スターも歴史の一コマに埋もれ、次第に忘れ去られる運命にあるのだ。それは「寅さん」シリーズの渥美清も同様であろう。

 

   場所は飛んで函館に北島三郎記念館とGRAY記念館がある。と言ってもGLAYの方は閉館して今はない。北島三郎記念館は今なお健在である。私はこの二つの施設がオープンした2003年に1度だけ見学した。函館が生んだ偉大なグループ、GLAYの功績を称える記念館の方は、今となってはどんな展示があったかは全く記憶に残っていない。

    一方の北島三郎記念館は、一度しか行っていないのに、妙に記憶に残っている。入口に入ると、北島三郎が出身地の知内町から函館に行く汽車の客車が再現されていて、北島三郎が歌手を夢見て上京する姿が描かれる。そのあと順路に従って展示物を見ていくと、最後にステージが現れる。そこで北島三郎オンステージ。大ヒット曲「祭り」のイントロとともに、等身大のサブちゃん人形がステージ下からにょきりと出現。精巧にできたサブちゃんは、口をぱくぱくさせながら見事に「祭り」を熱唱する。リアルサブちゃんはよくできていて、まさに本人の曲を一曲聞いたお得感がある。当の北島三郎は、往時の勢いはないものの、今なお北海道が生んだ最大のエンターテイナー。松山千春中島みゆきとともに「どさんこビッグスリー」をなす北島三郎はさすがの存在感だと、記念館を見て感じたのであった。

 

   ちなみに演歌つながりでいくと、同じく北海道が生んだ大演歌歌手に細川たかしがいる。「心のこり」、「矢切の渡し」などのヒット曲に恵まれ、大御所の存在だが、彼の記念館はない。彼の出身地は羊蹄山のふもとの真狩村。実はその真狩村の国道沿いの道の駅のワンコーナーに、細川たかしの衣装やらトロフィーやらが飾られている。記念館ほど大それたものを作っても、細川たかし見たさに来る観光客はいないから採算がとれない。道の駅の片隅にちょこっと展示するくらいが丁度良い。そういう意味では立派な記念館をもち、今なお観光客を集める北島三郎は、ある意味国民的スターと言えるのかもしれない。

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全世界の人々は裕福を夢見る