笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字736は「費」。日本は消費大国だ

今日の漢字は「費」。費用、出費、燃費、浪費、光熱費。

 

   日本は世界有数の消費大国。日本人は世界的に見ても、快感を入力する度合いは、ハイレベル。文化的にも文明的にも、絶えず強い刺激を受ける環境にある。その結果、次から次へと未来に快感を求めるサイクルに陥っている。だから一時的に快感を得ても、すぐにまた次の快感を求めていく。充足する神経の仕組みの働きが鈍っていて、満足感を得ることができなくなり、そして幸福度を下げているという分析がある。

 

   具体例でいえば、高度経済成長からバブル期にあった車の買い替え。1980年代から1990年代のスーパーカーブームに代表されるように、高価な車を乗ることが一種のステイタスであった。しかしそうした車に乗れないまでも、3年ごとに車を買い換える消費行動が普通にあった。つまり新車で購入して3年後の車検代にお金を払うくらいなら、今ある車を中古車で売って新車を買ったとしても、残債はそれほど多くならないというディーラーのセールストークにより、多くの人が3年から5年で新車を買い換えていた。今思うと信じられないが、当時は給与が右肩上がりの時代。車を購入することが刺激そのもので、「もっといい車」の満足感を追い求めていた。しかしながらこの消費性向はバブル崩壊からから失われた20年の過程で絶滅し、めでたしめでたし。

 

   日本が消費大国だと思ったのは、テレビ番組で日本と他国を比較するテーマでインタビューされていた北欧のカップル。そのカップルはデートをどこでするかというと、それは「公園」。公園でずっと2人で話をして1日過ごすと言っていた。おそらく推測するに、それほど給料が高くなく、物価が高いというのもあるかもしれない。一方日本でデートをするのに、1日中公園で話すと、あまりにも貧乏くさくて、すぐ別れてしまうだろう。日本はデート場所に事欠かない。映画、食事、ショッピング、カラオケ、ゲーセン、ボウリング、テーマパークなどなど。デートをしつつ、消費に誘導するモノに溢れている。心ゆくまで話をしてお互いを理解し合う行動よりも、遊びながら、消費しながら楽しむ消費性向の違いから、知らず知らずのうちに我々は消費世界にどっぷり浸かっている。

 

   またこんな例も。佐藤優がこれもロシアかどこかの国のことを言っていたが、その国の菓子メーカーのお菓子は、もう何十年もずっと一種類だという。新しい種類のお菓子を開発する気もないし、消費者も特に求めないという。翻って日本はどうか。春限定桜味の〇〇とか、秋の味覚の○○などの季節限定品に留まらず、抹茶味とかココナッツ味、マンゴー味など、さまざまなお菓子が毎年発売される。コンビニでそれらを見ただけでも、どれほど買わせるのかと鼻白んでしまう。企業側も売り上げを上げるのに必死で、あの手この手で消費を煽るが、消費者の立場から考えれば、本当に必要なのかを考えた方がいいかもしれない。

 

   今の若い世代は、給料が右肩上がりでないことや、非正規雇用の広がりにより、日本の消費戦略をとうの前に見抜き、「買わなくてもいい」「もたなくても幸福」と、周りに踊らされない処世術を身に着けている。消費を煽る今の世の中を考えれば、ある意味賢い考え方なのかもしれない。

    コロナ禍の経験は、少し大雑把な見方ではあるが、ある意味過剰な消費性向である今の日本の異常な状態を見直すきっかけになるような気がする。

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消費税は将来20%はいくだろう