笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字734は「刻」。JRの時刻表は無くなってほしくない

今日の漢字は「刻」。夕刻、遅刻、定刻、深刻、復刻版。

 

   大手航空会社の時刻表が廃止されるという報道があった。

飛行機はそれほど乗るわけではないが、以前はよく空港のカウンターや旅行代理店で冊子になった時刻表を貰ってきては、しげしげと眺めていた。大概東京に仕事やプライベートで行く際にそれを見ながら、どの時刻の飛行機に乗ろうかと計画を練っていたものだ。今やすっかり飛行機の時刻はネットで確認することが多くなったので、時刻表の廃止は時代の流れなのかもしれない。

 

   航空業界はそのように舵を切っているが、そこで気になるのが、JRの時刻表。JRに乗る際も、各社のホームページで検索することが多くなった。乗り継ぎの際にもいろいろなパターンをサーチしてくれて便利ではある。しかし昭和世代にとって、どうもネットのJRの時刻表には馴染めない。要するに考えることがないのである。

 

   私は大学生の頃、JR(当時はまだ国鉄)に乗ってあちこち旅をしたが、ポケット時刻表を必ず携行していた。ネットやスマホのない時代。JRで旅をするには、乗り換えの時刻確認は最重要テーマ。旅の途中の電車の中でひたすら時刻表とにらめっこし、どのようなルート、乗り換えで行こうか思い悩んだものだ。また、いろいろな路線がある地域だと、どのルートを通って目的地に行くかをシミュレーションする楽しさもった。

 

   しかし、時刻表を持たずにネットだけだと、どうしても「点」しか見えない。ルートの全体像を見ながら決めるのではなく、起点と終点をただ点で結ぶ情報を確認するだけ。要するに「線」を辿る想像力が働かないのである。

 

   具体的にはこんなことがあった。新潟から青森に行くことがあった。普通は上越新幹線で大宮まで行き、そこから東北新幹線に乗り換えるのが早い。もしくは、日本海側を北上する特急列車を乗り継いで、酒田~秋田~青森というルートもある。JRの検索では、当然のことながら上越東北新幹線ルートを表記。それは当然である。

 

   しかし私は購入したポケット時刻表とにらめっこしながら別のルートも考えた。新潟から坂町という駅に北上し、そこから山形県米沢にいく米坂線がある。これに乗り、米沢で山形新幹線に乗り換え、福島で東北新幹線の乗り継ぐというルートもある。紙の時刻表で路線図全体を俯瞰すると、そういうルートも出てくる。残念ながら米坂線の列車運行本数は極端に少なく、そのルートは実現しなかったが、時刻表という紙媒体で見ることで、いろいろな選択肢を選べる想像力を奮い立たせてくれる。

 

   そういう意味では、今のカーナビもそうだが、自ら考えることがない。すべてはネットがAIで判断してくれるから、思考する必要がない。それはそれで便利なのだが、頭を使わないことに私は不安を覚える。また、いろいろなルートをとるワクワク感とも無縁であり、突拍子もない発想も皆無。何か物足りなく、どんどん脳が退化していく不安がある。だから結論を言えば、JRの時刻表は絶対に無くなってほしくないと、切に願うのである。

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刻刻と地球の滅亡は近づいている