笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字728は「器」。三種の神器と言えばテレビ

 今日の漢字は「器」。容器、機器、臓器、文明の利器。

 

   三種の神器と言われた時代があった。庶民が憧れる家電製品という刷り込みがなされ、それらを買うことが中流階級への仲間入りを意味した。それは「白黒テレビ」、「洗濯機」、「冷蔵庫」。

 

   我が家にも1960年代当時、白黒テレビがあった。そして番組を変えるチャンネルはダイヤル式。つまみをつかんでガチャガチャと回して選局する代物だった。リモコンという最先端技術は1980年代まで待たねばならないから、とにかくチャンネルを変えたければ、テレビに近づきダイヤルを回すしかない。だから普段はそれほど頻繁にチャンネルを変えることをせず、1時間なり2時間なり、同じチャンネルを見続けるのが普通であった。

 

    しかし、兄弟でチャンネル争いが始まると状況は一変。同時刻に似たような番組、例えば、兄は「ウルトラQ」、私はアニメの「マッハGOGOGO」があると、もう大喧嘩。お互いにチャンネルを奪い合ってガチャガチャ回す争いを繰り広げた。親からは「いい加減にしろ」と怒られることしばしば。大概は弟の私が負けて泣く羽目になるのだが、録画機能がない時代は、楽しみな番組が見られないことに、寂しさを覚えたものだ。

 

   そして、そんな喧嘩がしょっちゅうあるために、ダイヤルがかなり摩耗する。ある時、いつものように兄弟でチャンネル争いをしていると、ある時、シュポッとダイヤルが抜けた。二人「あちゃー」と顔を見合わせ、母親も「あんたら何しているの」と呆れる。抜けたチャンネルに茫然とする私に、兄は冷静に「また嵌めればいいだろう」とひとこと。ダイヤルをチャンネルの軸に入れ直し、再びガチャガチャする。どうも直ったようだ。しかし何かおかしい。見たい番組とチャンネルの数字がずれている。どうも嵌め直した時に、チャンネルと数字が合わず、選局がずれてしまったようだ。兄はまたダイヤルをシュポッと取り外し、数字とテレビ局を慎重に確認し、ダイヤルを入れ直した。

 

    回しすぎて摩耗してしまった白黒テレビのダイヤルは、兄弟喧嘩のたびに外れ、そのうち、抜けるのが当たり前となった。なんとか騙しだまし使い、数年後にカラーテレビが我が家に来るまで、使い勝手が悪かった。

 

   ちなみにその後の新三種の神器は1970年代に、カラーテレビ、カー(車)、クーラーの3Cと続いていく。

   カラーテレビが来た時のことは残念ながら覚えていない。それなのに、なぜか白黒テレビのチャンネル争いでダイヤルが取れたことを覚えているから、不思議なものである。

 

    今は、ほぼ全世帯にDVDレコーダーがあるだろうから、チャンネル争いという行動形態はほぼ絶滅した。ただ、プロ野球のナイターを見たい私と、バラエティーを見たい妻とでは、時たまチャンネル争いが勃発する。お互いにわざわざ録画してまでも見る必要がない番組の場合は、互いの意地がぶつかってしまうのである(いつも私が負けてしまう。トホホ)。

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大器晩成が理想である