笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字722は「換」。交通機関の乗り換えは大変だった

今日の漢字は「換」。換気、変換、交換、換算。

 

   交通機関の乗り換えについて。乗り換えといえば、電車がメインだが、昔懐かし青函連絡船の乗り換えの記憶。

    昭和の末期に姿を消した青函連絡船。飛行機に乗って北海道と東京を往復するにはまだ高嶺の花の時代。本州への移動は青函連絡船がメジャーであり、船はいつも混んでいた記憶がある。

 

   私は学生時代関西に住んでいたから、電車で札幌に帰省するのも一苦労。当時国鉄は、特急「白鳥」を大阪~青森間で運行しており、私はその電車に乗り、一路青森を目指した。そして夜10時頃、青森駅に着いて青函連絡船に乗り換える。青函連絡船は青森~函館が正味4時間で、夜便は0時出港、函館に朝4時に着く。船の中で少し眠れるので、夜行便として結構人気があった。

 

    青函連絡船には、雑魚寝するカーペット敷の大部屋と、電車のように椅子が整然と並ぶ椅子席があった。その船は夜行便につき、断然大部屋に人気があった。だから青森駅から連絡船に乗り込む際はわき目も振らず大部屋に直行し、寝る場所を確保するのが常であった。

 

   船はドラが鳴り、函館港に向けて出港する。時間は0時を過ぎおり、何もすることがないので、寝るしかない。服を着たまま横になってうとうとするうちにあっという間に函館に着く。しかし、着岸するまでのんびりと寝ているわけではない。青函連絡船を降りて函館駅から札幌行の特急列車に乗り換えるという作業がある。

 

    連絡船での睡眠は正味3時間くらいしかないから、眠い。だから札幌までの特急列車の中でも少しでも寝ていきたい。となるとやはり窓際の席を確保し、窓枠に頭を乗せて熟睡したい。貧乏学生の私は指定券が惜しかったため、青函連絡船を降りたあと、函館駅に待機する特急列車までダッシュをし、自由席の窓側を確保した。

 

   しかし実ははそうした席の確保を狙っている同輩が結構いた。するとどうなるかというと、青函連絡船が函館港に着く前に、降りる支度をした乗客がわらわらと船の出口にたむろしてくる。函館港に着く頃には30人くらいの乗客が接岸と同時に列車に乗り換えるためにダッシュするのだ。

 

    私はその中の輪に加わり、ひたすら待つ。船のデッキはそう広くないから、乗客がぎゅうぎゅ詰めで密度は濃い。眠いし、立って待つのもしんどい。しかし次の特急列車の席取り合戦で窓際の席を押さえれば、少なくとも札幌までの5時間はゆっくり寝ていける。そんな思いがじっと待つ辛さを上回っていた。

 

    乗り換えは、北海道から本州に戻る際も同様。1度、青森から東京経由で関西に帰ることがあった。その際は、今は無き寝台急行「八甲田」に乗車。これは青森を23時頃に出発し、上野に朝に着く夜行列車。寝台は併設されているが、当然ながら貧乏な私は普通車両に乗車。この時も青函連絡船の下船時は出口で並び、列車でいい席を確保すべくダッシュした。しかし、窓側の席は確保できず、通路側の席を確保するにとどまり、寝不足のまま上野に着く羽目になった。

 

    今や新幹線であっさりと青函トンネルを通る時代。電車から船、船から電車という乗り換えも、昭和とともに幕を閉じたが、夜中の眠い中、下船を待つしんどい思いは、体力がある若者だからできたこと。今同じことをやれと言われても、たぶん船が着岸するまで大部屋でゆっくり寝て、特急列車はきちんと窓際の指定席を予約して移動するのだろう。歳を取ると気持ちがすっかりヤワになり、行動が億劫で安易になっている自分がいる。

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