笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字699は「月」。月9の思い出

今日の漢字は「月」。月曜日、正月、月見草、月山。

 

「月9」という言葉がある。言わずと知れたフジテレビの月曜21時のドラマを総称してこう呼ぶ。普段からあまりドラマを見ない私としては、月9の印象はほとんどないが、世相を反映したトレンディドラマにより、多くの若い男女は虜になったことだろう。

 

    月9の始まりは1987年の1月に始まった「教師びんびん物語」。主演は何と神田正輝、ヒロインは岸本加世子というから今思うと凄い配役。当時は二人とも若かったのだろうが、よくこれでドラマが続いたと感心する。

 

    カルチャー評論家の中川右介氏によると(「月9~101のラブストーリー」)で、月9ドラマの制作の特徴を述べている。

・「職業を持つ女性」が主人公である

・「現代の東京」が舞台である

・数人ずつの男女が主人公の群像劇であること

・若い主人公たちの「親」と「故郷」と「過去」が出てこないこと

・スタジオでのセット撮影よりもロケが多用されること

・主題歌があり、クライマックスになると流れること

・衣装やロケ地がタイアップであること

   これまでとは異なる、きらびやかなドラマの数々。ヒロインは悩みを抱えつつも美しく輝き、前向きに生きていく。それを支えるのが都会の風景であり、イケテる男性であり、ファッションだったと分析している。

 

   この本の巻末には、1987年から2016年までの月9ドラマ121本が掲載されている。基本的にドラマはワンクール3ヶ月が原則で、この29年間、まさに月9はドラマ枠として揺るぎない地位を得てきた。フジテレビの覚悟を感じるとともに、まさに屋台骨を支えた月曜9時なのかもしれない。

 

   そんなドラマ群で印象に残っている作品を。と言っても全編見たのは、121本の中で、たった3本しかない。それは、

・君が嘘をついた(1988年 三上博史麻生祐未

のだめカンタービレ(2006年 玉木宏上野樹里

プロポーズ大作戦(2007年 山下智久長澤まさみ

この3本だけは毎週ビデオに録画して見ていた。

    東京ラブストーリー織田裕二)、ロングバケーションラブジェネレーション木村拓哉)、ひとつ屋根の下(江口洋介)、101回目のプロポーズ武田鉄矢)など、視聴率30%超えの錚々たるドラマには、なぜか縁がなかった。天邪鬼と言われればそれまでだが、元来から見続ける根性がないのかもしれない。

 

   今も月9は続いているようだが、全く興味はなく、チャンネルを合わせることもない。もはやトレンディドラマをしげしげと見る好奇心がないこともあるが、時代の流れについていけないオヤジなのかもしれない。

    その昔月9は、ドラマによっては「町から若い女性が消える」現象があった。要するにまだVHSビデオが普及していない時代、若い人は仕事をさっさと終えて帰宅し、生で9時からのドラマを真剣に見ていたのである。

 

    そんなこんなで視聴率を30%超えるおばけドラマもあったのだが、今や嗜好が多様な時代、ドラマを見逃してもティーバーでいいとする世代が増えていけば、視聴率は何の意味もなくなる。それ以上に話題にのぼるドラマを作りだせないフジテレビの凋落ぶりの方が心配なのだが、どれだけ視聴率が悪かろうと、月9のドラマ枠だけは絶対にバラエティに渡さないとする局のこだわりには不自然さを感じる。1980年代、90年代の成功体験から抜け出せていない気がする。根拠はないが、笑っていいともが情報番組にとって代わったように、いつかは月9枠がバラエティに取って変わる時がくると、私は確信をもって見ている。.

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