笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字688は「発」。合格発表の思い出とは

今日の漢字は「発」。発売、発言、出発、発揮、発想、発展、発熱。

 

   大学の合格発表は、人生の中でもかなりのインパクトがあるイベントだと思う。何と言っても試験に受かるか落ちるかで運命の方向性が決まるという経験を、たかだか18、19歳の若者が経験するのだから、残酷である。人生は、たとえ志望大学に受からなくても何てこともないことは、社会人になってわかるのだが、多感な高校生には、そんな先のことなど理解できない。私は浪人を経験したが、今思うとその経験も良かったと思っているし、人生はわからないものである。

 

   とにかく合格発表の日は超緊張する。私の時代の40年前、北大の合格発表は、何とテレビ放送されていた。大学の合格掲示板の映像をバックに、合格した生徒の名前が、北大の校歌をバックにテロップでスクロールされていく。個人情報保護の今の時代ならあり得ないが、合格者はテレビを見て確認するという、そういう時代だった。テレビ局も何百人という合格者の名前をテロップで打ち込まねばならず、間違えられないから大変だっただろう。また、当時は新聞でも普通に合格者の名前が掲載されていた。3流だろうと4流だろうと、ほとんどの大学を網羅していたから、親戚には、どの大学に受かったかはバレバレ。親戚も毎日、目を皿のようにして甥っ子、姪っ子の名前を探したに違いない。本当に個人の権利など関係のない、のどかな時代であった。

 

   また、合格発表で役に立ったのが、電報。遠方の大学を受験した人は、合格通知は数日後に送られてくるから、何校も掛け持ち受験している人は、早く結果が知りたい。その際、電報が大活躍した。

   有名なフレーズは、合格ならば「サクラサク(桜咲く)」、不合格ならば「サクラチル」(桜散る)。北大ならば合格は「クラークは招く」、「エルムは招く」。不合格なら「津軽海峡波高し」。東大の場合、合格は「アカモンヒラク(赤門開く)」、不合格の場合は「イチョウチル」。短い文書で、合否を表す日本らしい配慮だと思う。

 

   最近はコロナ禍もあり、合格発表者の番号を壁に張り出さず、ネットで確認するのが当たり前となった。合格発表の風物詩でっあた、大学サークルによる合格者の胴上げシーンも、今後見られなくなるかもしれない。よく屈強なアメフト部や柔道部が出てきて、勢いよく合格者を胴上げしていたが、そんなシーンがなくなると、テレビ局もニュース映像が撮影できなくて困ると思う。

   私は田舎に住んでいた関係で、大学の合格発表を見に行くこともなかったし、我が息子たちも、ネットで結果を確認して一喜一憂していた。何とも味気ないが、そのうち試験自体も大学の会場に行かず、自宅で受けられる時代が来るかもしれない。そうなると2月、3月の受験シーズンに都内のホテルが予約で一杯になるという現象も起きなくなるのかもしれない。

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ストレス発散という言葉は好きだ