笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字682は「批」。某講演者のマスコミ批判は辛辣

今日の漢字は「批」。批判、批難、批評、批准。

 

   とある著名なジャーナリストの講演を聞いた。動画でもリモートでもなく、リアルな講演会を久しぶりに聞いた。その講演者は、テレビでもよく見かけるジャーナリストだが、何度も「これはオフレコですから、ツイッターとかではつぶやかないで下さい」と言っていたから、個体名(実名)を明かすことはできない。

 

   そのオフレコ発言(といってもオフレコほどのものでもないが)は、マスコミは今や集団リンチを行う危うい集団であるということ。森喜朗氏の女性蔑視発言は、普段森氏と付き合いのある人にとっては、とても社会から批難されるような人ではないということ。森氏は目下の人や女性に対して日頃から繊細に気を使い、人を貶めるようなことは決してしない人らしい。あの発言も、前後の文脈を含め全体像で考えれば、とても女性蔑視に結び付く発言ではない。しかしマスコミは「女性の出席者が多いと時間がかかる」という部分のみを切り取って報道。結果としてそれが一人歩きし、世界から批判を浴びた。マスコミはスクラムを組んで、森氏が辞任するまで、徹底的に追いかけた(報道し続けた)というのである。そのジャーナリストは、「マスコミは他に報道すべき案件がたくさんあるのに、失言をいいことに、人の揚げ足取りばかりしている」と批判していた。

 

   我々は森氏の素性を知るはずもないし、テレビでしか森氏の対応はわからない。しかし発言の一部だけを切り取って報道する姿勢はマスコミの常套手段であり、我々もいつマスコミの餌食になるかわからない。

 

   元総務省で内閣広報官の山田氏も、東北新社との7万円の接待費と、「飲み会は断らない」昭和的発想のリモート発言で、一気にイメージダウンし、辞職に追い詰められた。

 

   最近のマスコミは、寄ってたかって徹底的に弱いものを叩く性格がある。叩くことが世間の世論として、異論をはさむ余地のない雰囲気を作り出している。森氏の発言の際も、誰かが弁護していれば、辞任の流れを食い止めたかもしれないが、会議の出席者は誰も擁護しなかった。火の粉が飛んでくるのを恐れたとしか言いようがない。

 

  先ほどのジャーナリストはまた、「マスコミは嘘ばっかり言う」と呆れていた。真実は書かない、自社に都合のいい論調や読者受けする記事ばかり垂れ流し、自分の新聞が売れる、テレビの視聴率が上がることばかり考える。真実を伝えると、センセーショナルな記事にはならないし、誰も注目しない。だからあたかも真実であるように、脚色して物事を伝える。

 

   さらに今のマスコミは、「誰かが責任をとって辞める」まで、延々と報道を続ける。企業の不祥事はまさにそう。不祥事のお詫びで出てきた社長に必ず聞く質問は「自らの進退は」。トップの首を落とすことだけを考えるマスコミは3流週刊誌と何ら変わらない。真実は何か、何が問題だったのかを追求するのがマスコミの役目であり、目的がすっかり低レベルになり下がっている。

 

   考えてみれば、講演したジャーナリストにしてみても、この程度の発言なら、何もオフレコでなくてもいいはず。しかし敢えてそう言わざるを得ないのは、彼もまたテレビ人であるから。マスコミを公然と批判してしまうと、テレビでの仕事ができなくなるわけであり、それもまたずるいと思う。しかしその講演を聞きに来ていた聴衆が、どれくらいそのからくりに気づいたかは知る由もない。

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文芸批評という言葉は格調が高い