今日の漢字661は「味」。趣味は何ですか

今日の漢字は「味」。味覚、美味、調味料、興味、意味。

「趣味は何ですか」（高橋秀実）での記述。結婚相談所に入会すると、まずはシークレットデータという用紙に年収、学歴、身長、体重、家族構成、そして趣味を記入する。そのデータを元に相談所が「適合性のあるお相手」を紹介する。

趣味はいわゆるお天気会話として必要で、当たり障りのないコミュニケーション。最初は年収はいくらから始まり趣味に話が及ぶ。歌に例えるなら、年収や仕事は歌詞、趣味はメロディなのだ。

シークレットデータの「趣味」はリスト化された８４種類の中から最大５種を選ぶ形式。項目はテニスなどのスポーツ系が半分、読書、料理、お花、カラオケなどの無難な趣味が並ぶ。よく見ると、ギャンブル系のパチンコ、競馬、競輪やテレビゲームなどは除外されている。

ちなみに会員データを集計すると、男性の趣味の上位は、

１位ドライブ、２位映画、演劇の鑑賞、３位パソコン・インターネット、４位国内旅行、５位読書

女性は

１位映画、演劇の鑑賞、２位ショッピング、３位友人と会う、４位国内旅行、５位読書

とほとんど同じである。結婚相手を選ぶのには、無難な回答であることは必然的な流れなのかもしれない。

また、この本では、さまざまな趣味が紹介されている。

坂本龍馬。龍馬好きは全国で「龍馬会」を結成。北海道から沖縄まで130の龍馬会があるという。彼らは定期的に勉強会を開き、龍馬ゆかりの地をウォーキングしたりしている。坂本龍馬グッズを集める人もいるらしい。これほど日本人に愛される幕末の偉人もいないと思う。

飛行機マニア。これには、民間機マニアと軍用機マニアがいる。民間機マニアは普通に航空機に乗れるので、マイルを貯めたり、新路線に真っ先に乗ったり、全路線を乗りつぶす人。一方、軍用機はひたすら見る人らしい。なお、航空無線マニアは、管制塔とパイロットの交信を傍受する。航空路図を見ながら確認し、飛行ルートを想像するようである。実は航空無線には、警察無線マニアがなだれ込んできているらしく、警察が無線をデジタル化したために一般の受信機では傍受できなくなったため、航空無線に宗主替えしたようである。

切手収集。高齢化の一途をたどる趣味の代表。切手にはゼネラル採集とトピカル採集がある。前者は世界の切手を片っ端から集める方法。日本でこれまで発行された切手は4000種。そのすべてを採集する。後者はテーマ別に集めるもの。国別や宇宙、楽器、昆虫、料理などのデザイン収集のことをいう。その分野は100種。これらを集めるにはお金はそれほどかからないが、根気と時間が必要なようである。郵便需要が右肩下がりにおいては、なかなか厳しい趣味かもしれない。

カメの飼育。「カメの来た道」（平山簾）によると、今から２億３千年前、地球の陸上動物は、恐竜のように巨大化させる道、哺乳類のように小型化して絶え間なくエネルギー摂取する道、そして動かず、エネルギーも消費せず、じっとする道の３種類に分かれた。そのじっとする動物の代表がカメ。カメは「動かない」という合理的な処世術で、人間をはるかに凌駕する２億年以上を生き抜いてきた。カメは脳も小さく、必要なこと以上は学習もしない。エネルギーの無駄遣いをしない。だからカメは忘れっぽい。そういうのんびりなところが、カメをペットとして飼育し趣味とすることで、人の心を癒しているのかもしれない。

世の中いろいろな趣味があるが、趣味にはまることで人生が充実することは間違いない。人が何と言おうと、オタクと言われようとその人が楽しければいいのであり、趣味とはそういうものだと割り切りも必要であろう。どうせ短い人生、楽しまなければ損と思う人は、そうした趣味で、生きる意味を見出しているのかもしれない。