笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字658は「授」。予備校の授業で先生が起こした行動とは

今日の漢字は「授」。授与、伝授、授乳、王権神授説。

 

   誰もが必ず経験する授業。大学生まで学べば、16年間も毎年授業を受け続けることになる。

    その間、数々の記憶に残るアクションも展開されているのではないか。

    高校生では、授業中寝ている生徒に向かって先生がチョークを投げることはよくあるシーン。或いは内職が先生に見つかって、教科書を取り上げられる。そのようなシーンは日常風景として授業で展開された。

 

    私の思い出深い授業シーン。と言っても予備校。

    私の通う予備校(仮にA予備校)には当時、市内で2強の時代。今なら全国規模の大手予備校しかないが、昔は地元資本の予備校が普通に経営をできていた時代。ある意味、まだのどかな時代だった。

 

    私の通うA予備校には名物先生がいた。と言っても地理の先生なのだが、授業が格別面白く、その授業は立ち見が出るほどの大人気。多くの予備校生がその先生の地理の授業を聞きにきていた。その面白さは市内の予備校生の間でかけ巡り、一時期、ライバルのB予備校の生徒がもぐりで聞きに来ているのではないかと噂になった。

 

   その噂を聞きつけた件の地理先生。これはA予備校の生徒を守らねばならないとの義務感から、授業が始まる前に生徒の教科書を一人ずつチェックし始めた。生徒が持つ教科書はA予備校専門の教科書だから、B予備校の生徒がもし紛れ込んでいたら、その生徒は教科書を持っていない。先生は授業の始まりの貴重な10分を使い、教室にいる生徒一人一人にご丁寧に教科書の提示を求めた。

 

   すると、1番うしろにいた生徒が、先生が到達する直前、無言でサササと教室を去っていった。先生は教室を後にする予備校生に向かって「教科書持ってないんだろ。もうここには二度と来るな」と教室中に響き渡る大きな声をぶつけた。生徒がドアを閉めた瞬間。先生は教室にいる生徒に向かって「俺の授業を聞きに来るのは10年早いわ。おー10年も浪人してないか」とポツリ。教室は大爆笑となった。

 

   私が授業を受けた40年前は人気講師で生徒を呼ぶ時代であったが、予備校の人気講師は生徒を呼ぶブランドと化していた。カリスマ講師という命名もなされ、生徒の評判が高ければ年収もアップと、まさに実力の世界。そのころは予備校の競争も激しかったから、講師のブランドで生徒を呼び、さらに質の高い授業を受けることで難関大学の合格への道を拓くビジネスモデルがあった。

 

   あの時、もぐりで授業を聞きに来た浪人生の必死な気持ちもわからんではないが、そもそもその予備校の授業料は支払っていないわけだから、排除されるのは当然。あわよくばタダで知識を得ようという姑息な手段が露呈した結果となったが、悪事はすぐにバレるという典型例を見たような気がする。

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子供は天からの授かり物