笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字632は「波」。プロ野球選手の人生は波瀾万丈か

今日の漢字は「波」。電波、音波、寒波、波及、波瑠。

 

   息子が野球少年団に入っていたころ、バッティングに悩んでいたことから、個人で野球指導を受けていたことがある。

   その指導者は元プロ野球選手。私はその人のことを良く知らないし、活躍していた記憶もない。しかし元プロ選手だけに指導は的確だし、素直にアドバイスに従おうという気持ちになる。

 

    華やかな世界に思われがちなプロ野球だが、引退後の人生は長い。野球指導で生計を立てていくのも大変だとは思うが、経歴がプロ野球選手というだけで、人から尊敬の眼差しで見られるような気がする。

    その方の経歴を失礼ながらネットで調べると、某セリーグ球団のドラフト5位指名。7年間のプロ生活と情報が掲載されている。1軍登録の実績があるから、レギュラーとまではいかないが、華やかな舞台で脚光を浴びた時代があったと思う。

 

   しかし一軍で常時活躍できる選手は少数派。ドラフトで入団してくる選手たちは、何位であろうと、一軍で活躍し、多くの子供たちに夢を与え、人気者になり、あわよくば年俸数億円やメジャー移籍という壮大な夢を持つ。しかし考え方を変えれば、毎年入団してくる6~8名の選手の影には、毎年クビを切られる選手が同数だけいるという事実がある。ベテラン選手として球団に大きく貢献し、大々的な引退セレモニーをしてくれる人もいれば、全く芽が出ず、一軍に登録されることすらなく静かにユニフォームを脱ぐ選手もいる。トライアウトで再び拾ってくれる球団があればいいが、それも少数派。ほとんどは再就職として全く別の道を歩む。

 

    夢があって華やかなプロ野球だが、現実は厳しいとつくづく思う。

 

   「ドラフト最下位」(村瀬秀信)という本を読んで、その思いを新たにした。

    ドラフト最下位とは、その年のドラフト指名が最後の人。つまり全球団が指名終了の直前に指名された人でもある。これ以上の指名がない「まさに最下位」のドラフト指名者にスポットを当てている。

 

    1998年にカープのドラフト8位で指名された高橋顕典。中学・高校の公式登板なしという隠し玉で、投手として入団。2年ののち、タイガースに移籍。公式戦登板1試合、通算6年でユニフォームを脱ぐ。そのヤクルト戦で投げた1試合は、1イニング、被安打1、四死球1、三振1という結果。しかも実はそれは、球団が戦力外を通告するための思い出登板だったということを、あとで高橋投手は知ることになる。球団は「これで辞めろ」と暗黙のサインでマウンドに送り出していたのである、ひどい話である。

 

    或いは契約金のない中学教師。2001年のドラフト15位でオリックスに指名された橋本泰由。今でこそ育成枠が設けられたが、当時は育成的な意味合いで契約金ゼロ選手がいた。

    中学教師の椅子を蹴り、喜び勇んで飛び込んだプロ野球の世界ではあったが、そもそも15位レベルの低さでの活躍は無理。投手として生命線の肘を壊したことや、球団のトップが替わったことで、わずか3年でクビという浮き目にあった。

 

    私も地元ファイターズの選手動向は気にかけているが、例えば2011年ドラフト7位の指名を受けた大島匠は、異色の早大ソフトボール部キャッチャーの出身であったが7年でクビ。また、サウスポー瀬川隼郎は2015年、日本製鉄の安定職業を捨て、29歳で入団するオールドルーキーで活躍が期待されたが、こちらはわずか3年で戦力外通告されている。 

 

   とにかくプロの世界は実力がすべて。実力がなければ試合には出られないという極めて明快な理由がある。活躍する選手、活躍しない選手、百人百様の人生があるが、高校球児から一瞬でもプロの夢を叶えることができた選手たちは、長い人生においては、波瀾万丈ではあるが、実はとっても幸せなのかもしれない。

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今日のレースは波乱含み