笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字は628は「協」。日本放送協会の番組は面白い

 今日の漢字は「協」。協力、協調、協議、妥協、農協。

 

   さだまさしが「いのちの理由」というエッセイで次のように書いていた。

「近頃テレビが面白くない。デジタル化のための費用がかかりすぎて各局の台所事情が苦しいのはわかるけれど、どこもかしこも何処かで観た同じようなネタを集めて「驚異の何とやら」とうそぶく羊頭狗肉番組や、中途半端な芸人を集めて芸を見せずに騒ぐばかりの「クイズショー」、食い意地の張った「何とかグルメ」と称した広告宣伝をエサにどこかの店に出かけて商品をゆするたかるような手抜き番組ばかり見せられて、たまったもんじゃない」と書いている。

  このエッセイはいつ書かれたものだと見ると、2009年であった。

 

    思わず笑ってしまうと同時にうらさみしくなってきた。

今、2021年にさだまさしがこの一文を書いても何の違和感もない。要するに、テレビ業界は10年前と何も変わっていないことがわかる。ユーチューブ動画を集めた衝撃映像やら、クイズにしか芸のないU字原らの中途半端なお笑い芸人が出てお茶を濁すクイズ番組、帰れま10やコンビニスイーツベストテンのような、いかにもお店とタイアップした企画の数々。10年前さだまさしが嘆いた状況が、まったく変化も進歩もしていないことに愕然としたのである。

 

   もう言い古されているが、テレビ局にお金がないことは明らか。制作プロダクションもクオリティの高い番組を作ることを最初から諦めており、基本的に「この程度でいいだろう」と視聴者を上から見下しているから、つまらない番組しかできない。

 

    愚痴ばかり言っても進歩がないので、少しほめる感想を。玉石混交なしょうもない番組の中で企画力で優れているのは、天下の日本放送協会NHKブラタモリ

 

    やはりさすがのNHKである。地学や地理、歴史を組み合わせ、タモリの博学さも引き出しながら視聴者の知的好奇心をそれとなくくすぐる。得てして学術的になりそうなところをタモリが素人目線で疑問をぶつけるため、視聴者にもわかりやすいし「へー」という意外な驚きも導き出す。

 

   先日、愛媛県村上水軍の水城、能島城を訪問したタモリは、城に大量に埋まっていた瀬戸物の破片を見せられた。それは酒盛りに使った盃。この城の住人は島の海域を通行する海運業者からちゃっかり通行料を取り、その儲けでしょっちゅう宴会をやっていたそうだ。

    そういう事実は歴史書には出てこないし、一般人の知るところではないが、「へー」と思わせるトリビアを丁寧に見せるこの番組は、見ていてためになるし、好感が持てる。

 

    何かの本で読んだが、最近はNHKの番組を見る人が増えているそうである。

    理由は、もちろん民放のチープな作りに視聴者が嫌気をさしているほか、あのCMの前に答えを出さない思わせぶりな振りがこれまた不評で、逆にCMがなく、じっくりと丁寧に見せるNHKの番組のクオリティの高さに惹かれる人が多いそうである。NHKに出るひな壇芸人も中途半端なコメントで終わらせることは決してなく、局もテーマに対してきちんと考えたコメントを求めるから、ハードルが高い。出ている人も局の要求に応えうる知的芸人しか出ていない。

 

    あと、実は民放のテレビ局の番組にかける予算が減ったため、制作プロダクションがNHKに乗り換えているという話も聞いた。元々実力があって質の高い番組を作っていた制作プロダクションが、民放では実力を発揮できないとしてNHKの仕事を受託するようになった。NHKは国営放送だから予算はふんだんにある。だから最近のNHKは面白いという好循環につながっているようである。

 

    これからは民放がつまらないから仕方なくNHKを見るのではなく、面白い番組がたくさんあるからNHKを見る、知的好奇心を満たしてくれるからNHKを見るというようにシフトする人が増えていくのではないかと予測している。(ちなみに私はNHKの関係者でも何でもありません)

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結婚は妥協の産物か