今日の漢字600は「用」。サッカー専用スタジアムはもっと増えてほしい
今日の漢字は「用」。用意、用例、用具、慣用句、用務員。
昨日に続きサッカーネタ。今回はサッカー専用スタジアムについて。
ガンバ大阪の本拠地、パナナソニックスタジアム吹田のように、サッカー専用スタジアムが作られるようになってきた。
日本のサッカー競技場は、陸上競技との併用が多く、陸上トラックの内側のピッチで試合が行われる。しかしこれが、観客席から遠く、サポーターの不興を買っている。
札幌には札幌ドームがあるが、日ハムの試合とコンサドーレの試合日程が重なると、コンサドーレは厚別公園陸上競技場で試合をする。ここは陸上トラックがあるから、観客席とピッチが遠い。普段ピッチの近い札幌ドームで試合を見慣れていると、ひどく遠く感じる。
基本的にサッカーボールは小さいから、できる限り観客席とピッチの間は近い方がいい。サッカー専用スタジアムだとピッチが近いから、試合に臨場感が出るとともに、選手と観客が近くなることで親近感がわく。ゴールした選手がゴール裏のサポーターとハイタッチやハグしたりという行為がサッカー専用スタジアムだと可能となる。
Jリーグも100年構想のもと、ようやく日本のプロスポーツとして定着してきた。さらにより地域に密着したスポーツクラブとして、行政の協力を得て、官民一体となって観客に楽しんでもらうという動きが加速している。その証がサッカー専用スタジアムの建設構想が続々と計画されていること。5年前にできたパナナソニックスタジアム吹田に続き、2017年にJ2ギラバンツ北九州の本拠地、ミクニワールドスタジアム北九州が、昨年は京都サンガのホームスタジアムとして京都府亀岡市にサンガスタジアムが完成。臨場感ある試合が展開されている。
ちなみに余談だが、ミクニワールドスタジアム北九州は4面のうちのバックスタンドの1面が海に面していて、選手がボールをクリアするため思い切り蹴ったボールが観客席を大きく越えて海に落ちる可能性があるという。そこで球団は、万が一ボールが海に落ちたときに備えて、漁船を配置している。その名も「海のボールパーソン」。まるでサンフランシスコジャイアンツの本拠地でライト場外に飛んで海に落ちたホームランボールをカヌーで奪い合うような展開だが、ギラバンツ球団と北九州市は滅多にないこの特長をもっと国内に広めればよいのにと思う。
話は戻り、今後のサッカー専用スタジアムの建設計画も、2024年開業を目指すサンフレッチェ広島のエディオンスタジアム広島をはじめ、J2ツエーゲン金沢とVファーレン長崎が2023年、水戸ホリーホックが2024年、モンテデォオ山形2025年のスタジアム完成を計画している。
歴史を遡れば、サッカースタジアムが国内に多く作られたのは、2002年ワールドカップ日韓大会。この大会を誘致した日本は、FIFAの大会開催基準を満たすために巨大なスタジアムを作った。
埼玉スタジアムや神戸のノエビアスタジアムのようにサッカー専用スタジアムも作られたが、大半は陸上トラックを兼ねた競技場。横浜国際(日産スタジアム)、大分(昭和電工ドーム)、新潟、静岡、長居、宮城の各スタジアムは陸上競技場との兼用で作られた。
友人が日産スタジアムでマリノス戦を見たが、ピッチが遠かったと嘆いていた。7万人収容の大競技場で、ワールドカップ決勝も行われた競技場だが、サッカー観戦には不向きである。日本代表戦も以前はここでも行われていたが、最近はもっぱら埼玉スタジアムである。見やすい競技場で行うのは当然のなりゆきだろう。
2002年の頃はまだサッカー文化は根づいておらず、ワールドカップだからといって競技場をサッカー専用にする発想が乏しかった。お役所発想特有の、税金を投入するのだから将来の国体開催も視野に入れて陸上競技もできるようにという安易な発想で、サッカーが見ずらい競技場を作り、世界から集まるサポーターを失望させた。さらに、静岡(エコパスタジアム)や宮城スタジアムなどは今も地元のJリーグチームには使われておらず、稼働率の低い競技場を血税で維持するという無駄なことになっている。せっかくワールドカップで立派な競技場を作ったのに、極めて勿体無いことである。
サッカー文化がようやく世界標準に近づきつつあり、もっと専用スタジアムができて、多くのJリーグファンを楽しませてほしいと思う。
1年間、ご愛読ありがとうございました。ようやく600回、まだまだ続くよう、これからも頑張りたいと思います。