笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字582は「千」。海千山千の芸能界を生き抜く蛭子さんは凄い

今日の漢字は「千」。千秋楽、一日千秋、新千歳空港、千里の道も一歩から。

 

「ひとりぼっちを笑うな」の著者、蛭子能収氏はもともと漫画家ではあるが、テレビタレントとして活躍中である。

 

    内向的な蛭子氏が、海千山千の芸能人が蠢く芸能界で、居心地が悪そうにしながらも、自分なりのスタンスで飄々と活躍する様は微笑ましい。

「友達はいらない」「自己主張はしない」「目立ちたくない」「共演者と外では会わない」と内向性満載の独特の立ち位置をとりながら、なぜか憎めないほんわかムードを演出し、視聴者の共感を得ている。

 

    食レポで出てきたエビフライを、素直に「小さい」と呟いて店主から激怒されたとか、失敗談は数多いが、それも彼の全く計算されていない素直な性格で乗り切ってしまうところがヤバいと思う。

 

    ところで、蛭子さんが芸能界に入って凄いと思ったことに、芸能人が本当によく挨拶をすることだという。

 

    自分より先輩の芸能人をみかけたら、小走りに近づいて積極的に挨拶をする。先輩と共演する場合なら、収録前にわざわざその方の楽屋を訪ねて挨拶をする。「礼に始まり礼に終わる」を細やかに実践する。

 

    蛭子さんの本業は漫画家だから、関係者に挨拶しまくるという発想がなく、初めて目撃したときはびっくりしたと告白する。

 

    蛭子さんは、挨拶をすることで相手の時間を奪ってしまい、迷惑になると考えてしまう。だからなるべく挨拶に行かないようにしている。

 

    逆に蛭子さんは、芸能人としてそれなりのキャリアがあるため、新人の若い女性タレントなどが蛭子さんの楽屋に挨拶に来る。多分その人たちは、マネージャーから「共演する蛭子さんの楽屋にもきちんと挨拶しておけ」と言われてきているだけ。大勢が出演するバラエティ番組では、何人もの出演者が蛭子さんの楽屋を訪れるのだ。

 

    それが何度も続くと蛭子さんは、「そんなことをしなくてもいいのに」と新人芸能人を気遣う。

 

   だから芸能界の大御所は大変である。次から次とタレントが楽屋に来て、心休まる暇もないと蛭子さんは心配する。

 

    蛭子さんは明石家さんまビートたけしタモリ所ジョージなどには挨拶に行ったことがないという。結局蛭子さんにとって芸能界は副業であるから、普段とは違う感覚で過ごしており、芸能界のしがらみやしきたりに左右されないのだと思う。

 

    蛭子さんは普段楽屋では、連載中の漫画を必死で書いたり、競艇の予想をしたりと気の向くままに過ごす。しかしそれが結果的にストレスを生じさせない秘訣だと語る。

 

   あいさつ、挨拶、仕事、あいさつというルーティンが毎日続くと思うと想像しただけでも疲れるが、浮き沈みの激しい芸能界では、生き残りに必死になっているのだと想像できる。

 

    夜の収録で出演者同士やスタッフが会って必ず「おはようございます」と言う芸能界独特のしきたりも、挨拶文化と関係しているようにも思える。

 

   挨拶は、これから一緒に仕事が始まるのだという共演者の共同体意識を共有するためのメッセージでもあり、同じ時間を共有する仲間を再確認する行為なのだろう。

「おはよう」という言葉も挨拶としては、こんにちはやこんばんはと違って、スムーズに出てくるし、嫌味がない。共同意識を芽生えさせる点でも最良なアイデアなのだと思う。

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千載一隅のチャンスとは良く言ったものだ