笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字577は「惑」。小惑星りゅうぐうから石のカプセルが届いた

今日の漢字は「惑」。不惑、迷惑、思惑、幻惑、疑惑。

 

    はやぶさ2が、小惑星りゅうぐうから採集した石の入ったカプセルを地球に送ってきた。このニュースを聞いて、10年前に数々のトラブルを乗り越えて帰還を果たしたはやぶさのことを思い出す。

 

   46億年前にできた太陽系の起源を知るため、片道30億キロ離れた小惑星イトカワの岩石のかけらを、はやぶさが持ち帰るという壮大なプロジェクトがあった。文章だけで見ると簡単に思えるが、イトカワが太陽の周りを回る公転速度が秒速30キロメートルというから凄い。いわば時速10万キロ。ほぼ東京―ロサンゼルス間の距離(9万キロ)を1時間で飛ぶ飛行機にハエのごとく近づき、そしてそこに着陸する(ランデブー)というとんでもない計画が実行されたのである。

 

     はやぶさイトカワに着陸させるためには、はやぶさイトカワもお互いが静止状態に並行で走行しなければならず、人工的にはやぶさを時速10万キロにするという。しかもイトカワは直径500メートルのピーナッツ型の小惑星戦艦大和の全長が263mだから、2艦が縦に並んだくらいの大きさしかない。そんなちっぽけな小惑星に降り立つというのだから、凄いプロジェクトだったのだ。

 

   日本の宇宙技術は凄いのだが、宇宙予算はアメリカの10分の1だという。しかも経済に直結しない科学研究目的の宇宙予算はどんどん減らされているとか。

イオンエンジンを搭載しはやぶさは計画通り航行、イトカワに近づき、そして無事着陸。人類史上、月以外の天体に着陸したのは初めてという快挙を成し遂げた。

 

    はやぶさのミッションは、はやぶさからイトカワの大地に弾丸を発射させ、跳ね返りの岩石の破片を採取するというもの。そのミッションを地球上からの指令に基づき忠実に実行し、何とか地球へ帰還。途中エンジントラブルなどさまざまなトラブルに見舞われ、迷子になるなど帰還が危ぶまれたが、奇跡的に地球に帰還し、イトカワの石を届ける大仕事をやってのけた。

 

    届けられた石の破片の中には1000個以上の微粒子が見つかり、その後の分析で地球と似ている水の存在や、イトカワの母天体が直径20キロ以上あったことなどが解明されている。イトカワ形成以前の母体に小天体が衝突して母天体が砕けたのち、破片が再び集まって今のピーナッツ型になったという。

 

    ほんの小さな微粒子から、宇宙の歴史を導き出す今の科学技術の凄さには舌を巻く。

 

    今回、後継のはやぶさ2が小惑星りゅうぐうに着地し、同様に石の破片が回収され、無事オーストラリアにそのカプセルが舞い降りてきた。はやぶさの教訓を見事に生かしてたようだが、りゅうぐうもイトカワ同様、約46億年前の太陽系が生まれた当時の姿をとどめていると考えられており、太陽系の歴史や地球生命の起源を解き明かす鍵になると期待されている。どんな結果がもたらされるのか楽しみである。

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不惑の歳はとっくに過ぎた