今日の漢字574は「乱」。百花繚乱のバラエティ番組の出演者の順位を考える
今日の漢字は「乱」。乱暴、戦乱、酒乱、乱取り、混乱、乱雑、応仁の乱。
百花繚乱のバラエティ番組がしのぎを削るテレビ業界。
最近、テレビのバラエティ番組を見る上で、私が密かな楽しみにしていることは、番組に出演するタレントは、番組スタッフの何番目の希望でアテンドされたのかを想像することである。
その見方を伝授してくれたのは、放送作家の鈴木おさむ氏の「テレビのなみだ」という本。
視聴率やタレントとの関係、番組制作の苦労など番組制作の舞台裏をおもしろおかしく語るエッセイである。
それによると、
テレビ局は毎分視聴率を計測しているが、その凄いところは、その数字によってタレントの人気度がわかってしまうところ。
同じコーナーでも、出演者によってはハワイのダイヤモンドヘッドの上り坂並みに毎分視聴率がグイグイ上がることもあれば、日光のいろは坂を転がり落ちるように毎分視聴率が下がる人もいる。
いろいろな番組で同じようなタレントがたくさん出るのは、そのタレントたちが皆ダイヤモンドヘッド並みの結果を残しているからである。
だから番組の内容が面白いかどうかよりも「毎分」が上がったか下がったかが大きい。
ただ、毎分視聴率に頼りすぎてしまうと、同じようなコーナーや企画が増えてくるのだ。
最近バラエティでよく見かけるフワちゃんも、登場するごとに実はダイヤモンドヘッド並みの毎分視聴率を叩き出しているのかもしれない。
そんな番組出演者について、テレビ局では事前にゲストを決める会議が開催される。番組に何人呼ぶかをジャンルごとに人選する。例えば芸人枠2組、イケメン枠1組、グラビアアイドル枠1組、女芸人枠1組、おじさん枠1組などというように、ジャンルごとに人選をかける。
最初は旬な人、人気のある人の理想型で人選していく。第一希望から第三希望まで順に候補を挙げていく。
しかし旬な人や人気の人は忙しいから、スケジュールが埋まっていて、なかなかオファー(出演交渉)がまとまらない。
第一希望で決まれば「ラッキー」。第二希望で「良かったね」。第三希望で「まあ、そんな感じか」。第四希望になると「仕方ないか」。第五希望になると「残念」。という声が出てくる。
ひどい時には、10番目の候補くらいでようやく決まり、「こいつどれだけ暇なんだ」と言われる有り様だとか。
ゲストとして出演する本人は、自分が第何希望でアテンドされたかは知らない。まさか自分が第10希望で呼ばれたなんて思っていないはずだ。そういう下位の順位の人に限って実際の収録で頑張ったりする。本人が実情を知ったらテンションが下がるのではないかと鈴木氏は気を揉む。
しかし、最初は下の順位で呼ばれたのに、スタジオでいい働きをしたことにより、ランキングを上げていく人もいる。小さなチャンスを大きなチャンスに変えようと信じ、謙虚な姿勢で頑張り続けた人だけが、自分のランキングを上げていくのだ。
鈴木氏は、ある番組で、テレビで出ているタレントを見ると、だいたい第何希望でアテンドされたかがわかるという。人気商売とは言え、それくらい芸能界は厳しい業界なのである。
ということで、私も少し不謹慎と思いながらも、「この人は何番目なのか」という視点でバラエティを見ている。
本日(12月1日)、リアルタイムで見ている日テレ「踊るさんま御殿」では、出川哲朗、小峠英二、矢田亜希子、ウェンツ瑛士、matt、フワちゃん、黒木ひかり、高橋ひかる、宮下草薙、安斉かれん らが出演中。
この中でも、芸人コンビの宮下草薙、タレントの黒木ひかり、女優の高橋ひかるあたりは、これから順位を上げていかねばならない立ち位置なのかもしれない。(なぜならおじさんである私は、これらの4人を全く知らないため)。でもリアルで見ていると、フワちゃんや出川のトークは明るくて面白い。逆に宮下草薙はトークが暗い。その瞬間数字が下がっているのではないかと心配になる。
出演者には申し訳ないが、百花繚乱のバラエティでは、出演するタレントさん方も豪華絢爛もあれば、閑古素朴もある。そんな幕の内弁当のような人選を一歩下がって味わってみるのも、いいのではないかと思う。