笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字567は「紅」。ねるとん紅鯨団は我が青春の番組だった

今日の漢字は「紅」。紅茶、紅葉、紅白、口紅、紅一点。

 

   1980年代のフジテレビは元気だった。

「楽しくなければテレビじゃない」をスローガンに、ドラマ、バラエティ、お笑いとどの番組も絶好調の視聴率をたたき出し、在京キー局の視聴率戦争でトップを走っていた。

 

    何といっても、月9のドラマは当時の世相を反映し、トレンディドラマとして一世を風靡した。

 

   昼は長寿番組「笑っていいとも」が、がっちりお昼の主婦層を抑えていたほか、土曜日20時は子供たちをお茶の間に釘付けにした「おれたちひょうきん族」、平日夕方はアイドルグループおにゃん子クラブで社会ブームを巻き起こした「夕やけニャンニャン」、土曜日の深夜は大学生をターゲットにした「オールナイトフジ」。バラエティ豊かな番組群に、フジテレビに敵なしの黄金時代を築いた。

 

   その象徴的番組のひとつに「ねるとん紅鯨団」があった。当時大人気のお笑い芸人、とんねるずが司会をするカップリング番組。

 

   土曜日の23時からミズノの提供で始まるこの30分番組は、毎週末のお楽しみであった。

 

    当時はまさにバブル絶頂期。多くの人が好景気に浮かれる中、車だお金だブランド品だという軽薄なノリではなく、純粋に出会いを求める男女が集い、自らの幸せを求めた。

 

   最近はあまり放送されていないが、田舎の農業や漁業の後継者の男性と都会の女性がお見合いするテレビ番組の原型を成すような構成であった。

 

    ただ、出会いを求めると言っても、中には単純に「テレビに出たい」とか、「とんねるずに会いたい」という不純な動機の軽いノリで参加する人がいたことも事実。出演者も20代前半が多く、サークルの合コンのような乗りで番組が進行した。後年人気を博す田舎の青年後継者と都会女性のお見合い番組との違いは、後者の参加者は比較的年齢が高く、交際、結婚を真剣に考えてチャレンジしてくること。気合が入りまくりで、カップル不成立時には悲壮感が漂うなど、ライトな前者との違いは際立っていて、時代の流れを感じる。

 

ねるとん」の愛称で親しまれた同番組は、「彼氏いない歴○年」、「ちょっと待ったー」など多くのフレーズが流行した。

 

   告白タイムはこの番組の最大の見せ場。男性が女性の前で告白し、成就する者、女性から「ごめんなさい」と言われて撃沈する者、「ちょっと待ったー」のライバル出現で、そのライバルがカップル成立となると、振られたその男は「チクショー」と叫んで退場するなど、見所が多くて楽しめた。

 

   当然A子に行くと思っていたB男が、まさかのC子の元へ行きカップル成立に、石橋貴明から「まさかの、大、どんでん返し」が炸裂。お約束のフレーズを聞いてあっという間に番組が終わると、明日は楽しい日曜日と気分はルンルンであった。

 

    個人的な話だが、独身の頃、保険会社主催のカップリングパーティに参加した。男女が入り乱れてのパーティののち、告白タイムに。私は、いろいろと話をしていい雰囲気になった女性に告白アタック。すると、「ちょっと待った」コールとともに、同じ女性にライバル告白者が。私は内心舌打ちした。

   彼女は思案した末、両方に対し、「ごめんなさい」。

 

    二人とも見事に砕け散ったが、そんな催しが開かれていたのも、ねるとんの影響があったのかもしれない。

 

    最近のカップリングパーティは、気になった人の名前を紙に書いてスタッフに渡し、見事マッチングすればカップル成立だとか。撃沈しても公の目に触れないのは、世間体を慮ってのことだろうか。ねるとんの頃は笑って過ごせたが、今は笑えないほど真剣な交際を望む人が、それだけ多いということの証なのかもしれない。

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紅鮭は美味しい