今日の漢字566は「会」。熊にばったり出会ったらどうするか
今日の漢字は「会」。会合、再会、会話、会社、会員、会計、会津若松。
住宅地に熊が出没する事例が相次いでいる。金沢では、スーパーにツキノワ熊が出没し、駆除された。ドングリなどの木の実が不作だと、山を降りて人間の居住地に出没する熊も大変だが、お互いの生活を脅かさないよう、共存していかねばならない。
しかし、登山や山菜採りなど、人間の積極的な行動の中で、熊とばったり出会うことも多い。2016年に秋田県鹿角市では山菜取りの4人が熊の犠牲になるという、痛ましい事件もあった。そこで、熊との対応について、羆の行動や生態を研究している木村盛武氏の著作「ヒグマ そこが知りたい」から引用したい。
まずは、熊に出会って何もせずに助かった事例はない。熊に襲われても助かっている事例はたくさんあることから、相手をよく知ることが必要。
・熊と出会った時は、姿勢を急に変えず、叙々に対面位(正面を見据える)をとる。
・熊の目をじっと睨み、目を逸らさない。
・背を絶対に見せない。
・大声で威嚇したり、悲鳴を上げない。
・物を投げつけない。
・たとえ仔熊とばったり会っても、その場から立ち去る。仔熊の近くには必ず親熊がいるので、絶対に仔熊に近づいてはいけない。
・熊が退散しそうなそぶりを見せても、急に逃げたりしない。
・クラクションやカーラジオで刺激しない。
・車で出会ったら、決して外に出ない。
熊は突然人間に会うと警戒心や恐怖心を抱くので、徒に刺激し興奮させないことが大事。つとめて冷静に対処する。熊に関心を示さなければ、向こうも敵対心を持つものではない。
熊は、背を向けて逃げる生き物は「弱者」と判断してほぼ間違いなく襲ってくる。だから決して慌てて逃げてはいけない。100%襲ってくる。
熊がのそのそと近づいてきた場合は、何か物、例えば食糧、衣服、持ち物を前にそっと置き、熊がそれに興味を示した隙に、背中を見せることなく、後ずさりしながら次第に遠ざかる。
熊から人間への好奇心を逸らすことが大事なのである。
近くに木があれば、木に登るという方法もある。図体の大きい熊は木登りが苦手なので、木に登ってやりすごす方法もあるという。ただ咄嗟に木に登れるかという問題はある。
熊が急に姿を消しても、侮ってはいけない。どこかに潜んで攻撃の機会を伺っている場合がある。何といっても、熊にしてみれば自分の縄張りはホームであり、庭でもある。先回りして待ち伏せする場合もある。
熊の走る速さは人間の比でなく、速い。執拗に追ってくる場合は逃れることは難しいものと理解する。もし熊の立ち寄れない岩場や、大木があればその陰に身を潜める。
死んだふりについては、著者は懐疑的である。死んだふりをして無傷という例は極めて少ない。多いのが爪による傷で、ひっかかれて傷を負う場合が多い。これは熊が人間の生死を確かめるために、荒々しく人体を扱うことからの受傷だという。
死んだふりをしても、結局は犠牲になったという事例も少なからずあるのは事実である。
熊が立ち上がったとしても、必ずしも襲ってくるものではない。立ち上がるのは、相手に対する威嚇と自分を大きく見せるデモンストレーション。
熊が立ち上がって襲ってくる場合は、うつ伏せになり後頭部を守ること。人間が四つんばいの態勢では、一撃で人間を即死させることはできない。しかし立った状態で熊から攻撃を受けると、頭に一撃をくらえば、ダメージは大きく、即、死につながる。この護身術は多くの研究家が推奨する術だという。
最後に、山に入る場合の心得。
・人間の存在を知らせるために鳴り物(鈴、ラジオ、笛)を持つ。
・太い枝で、樹木を叩きながら歩く
・大声を出したり、唄ったり、手を叩く。
備えあれば憂いなし。登山や山菜採りは、人間が熊の生活圏に足を踏み入れるということ。その前提をもって、謙虚な姿勢で臨みたい。