笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字552は「源」。日本の水資源について考える

今日の漢字は「源」。光源、源流、財源、語源、光源氏

 

    水資源について考える。

 

    日本人は、「水と安全はタダ」という意識が強いが、世界的には水は貴重な存在である。

 

    水道水をひねれば、普通に水が飲める国はそう多くない。

 

    アジアでは、日本とUAEくらいしかないと聞いたことがある。他国では水源の確保に苦労したり、水道料金がバカ高かったりするなど、生活必需品の水が、政治的な課題になる国もあるという。

 

   日本は水に恵まれた国なのである。

 

   そもそも日本は多雨の地域。いわば年中通じて雨が降る。しかも冬は雪が降るから、雪どけ水もある。やれ梅雨だ、台風だ、冬は豪雪だと、雨や雪が降ることに対して人はネガティブになりがちだが、これらがもたらす豊富な水によって、実は私たちは、さまざまな恩恵を受けている。

 

    例えば、山から出る湧水。

    北海道には羊蹄山という独立峰があるが、その麓に京極町という町がある。その京極町の道の駅に湧水公園があり、羊蹄山の湧き水を無料で持ち帰られる。多くの住民が大きなポリタンクやペットボトルを携えて、羊蹄山から湧き出る水を汲んでいる。

 

    確かにここの水はおいしい。京極町は「名水の里」で売り出しており、町おこしに「水資源」が使えるのも、羊蹄山が何年もかけて貯めた水を、愚直に町民に提供しているから。原価ゼロで町おこしができるのは、ある意味ぼったくりではあるが、ここの名水コーヒーが絶品なので許そう。

 

    聞くところによると、富士山もそうだが、雨雪が山に染みこんだ水は、およそ100年かかってようやく地上に湧き出てくるらしい。

 

    そういう意味では、湧水公園で水を汲む人々は、100年前の水を飲んでいるのだ。自然の営みに感謝である。

 

   もうひとつの恩恵は温泉。日本は火山国で、いたるところの活火山があるし、温泉も腐るほどある。しかし温泉が成り立つのも、日本の全国各地の地下水が豊富にあるからだということを忘れてはならない。

 

    日々降った雨や雪が地上に染みこんで地下水で溜まり、マグマで温められて温泉の源泉となるが、これも地下水が豊富にないと、いつかは枯渇する。日本に数百ある温泉がきちんと湯を提供できるのも、雨、雪のおかげなのである。

 

   中東やアフリカの砂漠の国に仮に火山があったとしても、温泉が成り立つだろうか。

   雨の降らない砂漠の水は貴重であり、マグマの熱源はあっても、地下水がなければ温泉は成立しない。風呂に入るためにお湯を「溜める」ことができるのは、アラブの石油王くらいである。それなら「飲み水や煮炊きの水にくれ」と庶民の暴動が起きるのがオチである。

 

    そう考えると、温泉をまさに「湯水のごとく」使い、お湯に浸かってストレスを発散できる日本という国は、砂漠の国からしてみたら、何て贅沢なことだと映るに違いない。温泉だけでなく、日常で毎日浴槽にお湯を溜めて入浴する日本人は、シャワーが大半の国と比較すれば、もの凄く水を使っている。

 

   レストランなどで、無料で水が出てくることは、本来は世界の非常識。普通に水にお金を払う国際慣習からしてみると、無意識に水を使う日本人は、水の消費にもっと敏感になるべきである。さらには我々の生活や他の動植物、自然に豊かな恵みをもたらす特殊で希有な気候風土に感謝すべきだと思う。

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