笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字546は「憧」。アメリカはもはや憧れの国ではない

今日の漢字は「憧」。憧れ、憧憬。

 

   アメリカはおかしくなりつつあるのか。

 

    アメリカ大統領選挙で醜態をさらすトランプ大統領。討論会でも相手のバイデン候補を罵るだけという、とても大人の対応とは思えない態度や、郵送での投票が不正行為だと呼びかけるなど、やることが滅茶苦茶。なりふり構わず再選を目指す。

 

    選挙で、もしトランプが敗れた場合、裁判に訴えるという憶測も飛んでおり、アメリカは迷走している感がある。

 

    アメリカは憧れの対象であった時代はとうに過ぎた。

 

    戦後の復興で日本にモノがまだ十分でない時代、高度成長期に入っても、私たちは豊かなアメリカ人の生活を見るにつけ、いつかはアメリカ人のような生活をしたいと思ったものだ。

 

   その象徴が、テレビドラマとアニメ。昭和40年代から50年代にかけて、日曜日の午前中はアメリカのホームドラマが放映されていた。記憶に残っているのは、「奥様は魔女」と「じゃじゃ馬億万長者」。典型的なアメリカの家庭が描かれるが、ドデカイ冷蔵庫、キャデラックの豪華な車(燃費は滅茶苦茶悪そうだが)、美人の奥さんがオーブンで焼くピザ、ナイスガイな夫、家の中を闊歩するシェパード犬など、豊かなアメリカを象徴する描写がなされていた。一方当時我が家には車などなく、父親がスクーターに乗っていたくらい。まだまだ貧しい暮らしで、アメリカは何て豊かな国なのだと羨ましかった。

    そのホームドラマは吹き替えで日本語で放送されていたが、なぜか夫婦のコミカルな一挙手一投足を見る観客の笑い声が響くという、日本のバラエティのような摩訶不思議な番組であった。

 

    もうひとつはアニメ。確かに鉄腕アトム巨人の星のような国産の人気アニメもあったが、当時よく放送されていたのは、アメリカ発のアニメ。記憶にあるのは「チキチキマシン猛レース」「スーパースリー」「出て来いシャザーン」。スーパースリーは変身ヒーローもの。「ラリホーラリホーラリルレロン・・」と唄う歌は当時小学生だった私たちの間で流行った。「出て来いシャザーン」はアメリカ版「ハクション大魔王」。ツボの中からシャザーンが出てきて悪党をやっつける話だった。「チキチキマシン猛レース」は、平日の夕方に放送していた。各マシーンがレースをして順位を競うが、これまた小学生の間では、各マシーンの名前を覚えたものだ。私はアメリカ人のハンサムボーイが乗る「ハンサムV9」が好きであった。

 

    このように、我々がアメリカのアニメの虜になったのも、当時の日本のアニメよりもストーリー性、スピード感、コミカルさなどアメリカの方が先を入っていたことがその理由。そういう意味では、私たちはアメリカのテレビアニメで育ったと言っても過言ではない。

 

    逆に今の世界の子供たちは、「キューティーハニー」や「ガンダム」、「ポケモン」など日本発のアニメを見て育ち、日本に強い憧れを抱くという、昭和40~50年代の逆を行っていると言えるかもしれない。

 

    世界の模範と言われ経済的に豊かなアメリカに追い越せ追いつけと頑張っていた時代が逆転し、今やアメリカに見倣うべきものが無くなった。アメリカの病む部分、貧富の差がもの凄い格差社会、選挙の都度起きる分断と混乱、警察官の黒人への暴行、一向に無くならない銃犯罪と無差別殺戮、そしてテロなどが日常のヒトコマと化している。もはや日本は「あんな国にはならないように」と、アメリカを反面教師としか見られなくなってしまった。

 

   宗教弾圧を発端にピルグリム・ファーザーズが、危険を犯してまで新大陸に渡り、希望国家を作った結果がこの有様なら、アメリカの大地に眠る先祖たちはさぞかし嘆き悲しんでいるに違いない。

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「憧れの先輩」っていい響きである