笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字542は「語」。語彙量が半端ない日本語を駆使する日本人は凄い

今日の漢字は「語」。語学力、標語、単語、語源、国語、私語。

 

    日本人はマルチタスクに優れているという説がある。

 

   その理由は、世界一難しい言語である日本語や漢字、ひらがな、カタカナを日々駆使しながら生活しているほか、時には敬語も交えながら、場の雰囲気を忖度しつつ会話する。その複雑な言語を操ることで脳のスペックが外国人を凌駕しているという説である。

 

    日本語は語彙数も半端なく多い。輪をかけて擬音語、擬態語の数も豊富。ソーシャルディスタンスのように外来語のカタカナ表示も当たり前。我々は日々言語の洪水の中で暮らしている。

 

    例えば昼ご飯は、英語ではLunch。これひとつ。

   しかし日本語の場合、「昼ご飯」、「お昼ご飯」、「昼飯」、「ランチ」と4種類。しかも「お昼を食べに行こう」で通じてしまう。

「お昼という時間軸を食べる表現はおかしい」などと言おうものなら、「なんだコイツ。うぜえ」と怪しい目で見られる。

 

    お昼を食べる=お昼ご飯を食べるの省略型であることは、誰でもわかるし、日本人は自然と行間を読んで推測している。    これを英訳すると、

Shall we eat afternoon ?となり、外国人は?となる。

Shall we eat lunch?一文で済む。

 

    いわば少ない語彙数で自分の意思を明確かつ効率的に話すのが英語ならば、豊富な語彙数から表現を省略しつつ、相手の言わんとすることを主体的に汲み取って推測すのが日本語と言える。

 

   ハイコンテクストの国ならではの会話術だが、民族的に同一の日本人同士だからこそ成り立つ会話であることを忘れてはならない。

 

    また、よく夫婦の会話である「あれどこ行った?」。先日、私は冷蔵庫を開けながら妻に「あれないの?」と聞くと、妻が「ああ、納豆なら買ってないわ」。

 

   これも相手が何を欲しているかを直ちに推理して、速やかに結論を出す早業。改めて凄いと思う。外国人なら「あれって何?」と間違いなく聞いてくる。夫が冷蔵庫を開ける時間帯、朝食のシチュエーション、冷蔵庫の中を覗く視線の位置、夫の嗜好や食習慣、それらを総合的に推察し、あれ=納豆の結論を瞬時に導き出す行為は、日本人にしか出来ない神業だと思う。

 

    加えて日々接する文字の漢字、ひらがな、カタカナの洪水の使い分け。外国人が最も苦労する部分でもある。なぜ髭剃りは「しぇえばあ」ではなく、シェーバーなのか。うどんは「ウドン」ではなく、うどんなのか。桜のさくらとサクラはどう違うのか。「おトクな値段」でなぜトクがカタカナなのか。

    答えられる日本人はいない。「外来語はカタカナだ」と説明したら、「じゃあなぜカラオケやイオンやニトリはカタカナなのか」と鋭い突っ込みに返せない。そんなごった煮の文語の中で平然と暮らす日本人はやっぱり凄い。

 

   よく日本人は英語を覚えられないというが、日々世界最高難度の日本語を駆使している日本人の脳は疲弊していて、とても毛色の違った言語を覚えることに、脳が拒否反応を起こしているのではないかと思うが、穿った見方だろうか。

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「俺は偉い」などと豪語してはいけない