笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字532は「塩」。塩野七生の「ローマ人の物語」は長かった

 今日の漢字は「塩」。塩辛、塩分、塩田、減塩、塩素、塩尻市

 

    塩野七生の「ローマ人の物語」は長かった。

 

    個人的に文庫本が何巻にもわたる長編小説を、私は「山登り読書」と読んでいるが、その都度文庫本を買って読むロングラン読書はなかなかしんどい。

    今まで登頂を果たした本は、「坂の上の雲」、「ローマ人の物語」、「三国志」。一方途中で断念し山頂にたどり着くことなく山を下ったのが、「竜馬がいく」、「真田太平記」。長編小説は読むのに時間がかかるから、まさに友達や相棒のようなもの。長い付き合いができるかどうかがポイントである。ちなみに「ローマ人の物語」は読了まで半年かかった。

 

    「三国志」のように劉備玄徳という一人の英雄を軸に作品が展開していくと、軸があって読みやすいし、「ローマ人の物語」も、ローマ帝国という国が主役であることが、ある意味斬新で面白かった。

 

    すでに文庫本全43巻は売り払ったので、再読は叶わないが、記憶の断片から思い出してみたい。

 

    その「ローマ人の物語」では、ローマ帝国の歴史が淡々と描かれ、内政と外交、戦争などを通じて、古代ローマ人の生き様がリアルに描かれる。

   内容的におもしろいのは、前半部分に集中している。

1.カルタゴとの闘いに明け暮れるポエニ戦争のパート

2.三頭政治の筆頭シュリアス・シーザ(カエサル)のガリア遠征とルビコン川を渡っての元老院との対決。覇権を握るものの最後は暗殺される悲運

3.アントニウスオクタヴィアヌスの抗争とローマ帝国の成立

と、見所満載のパートが続く。

 

1については、北アフリカの雄、カルタゴとの闘いで、カルタゴの闘将ハンニバルが冬のアルプスを越え、アフリカ像を率いてローマ領土内に進入するという驚天動地の奇策と、その後反撃に転じたローマ軍が第三次ポエニ戦争で、カルタゴを完膚なきまで叩きのめす場面が印象的であった。海運で経済的繁栄を謳歌したカルタゴは、2000年後の日本を髣髴とさせるという人もいるが、日米が争う太平洋戦争に似た印象をもった。

 

   2については、特にカエサルは八面六臂の大活躍。ローマ人の物語を語る上で彼は、まさに千両役者。前半部分でカエサルの波乱万丈な人生が生き生きと描かれていたことで、その先をもっと読み進めたいという意欲につながったことは間違いない。

 

    しかし後半は前半部分のエンタメ感満載な展開とはうって変わり、ローマ帝国の繁栄期で平和な時代となる。トラヤヌス帝をはじめ五賢帝の安定した政治のなか、衝撃的かつ大きなイベントがなく、物語は淡々と続く。このあたりはドラマ性が枯渇し、何度も読むのをやめようかと思ったが、意地でも最後まで読み通そうと、発奮した。

 

    最後は衰亡期で、ゲルマン人の大移動と領土への侵攻、その闘いと内政の混乱、そして東西ローマ帝国の分裂、西ローマ帝国滅亡へと続く。

 

    今から2600年前に誕生し、1200年と長きにわたって続いたローマ帝国の物語は長大な抒情詩であった。

 

    残念ながら、ローマ人の物語を読んでからローマ観光ができれば良かったと後悔した。

 

    ローマに行ったはもう何年も前、コロッセオやフォロ・ローマーノを見たものの、その際は何の知識もなく。「ふーん」で終わってしまった。もし今それらの施設を見れば、ローマ人の物語で画かれた英雄達が闊歩していたことが思い起こされ、よりローマ帝国の遺跡を楽しめたと思う。

 

最後にカエサルの名言を

・来た、見た、勝った

・人は喜んで自己の望むものを信じるものだ

・多くの人は見たいと欲する現実しか見ていない

・賽は投げられた(もうあとへは引けない)

・ブルータス、お前もか

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1000字くらいのエッセイがいい塩梅だ