笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字527は「根」。根室はとても遠い街だ

今日の漢字は「根」。根本、球根、根菜、屋根、阿久根市

 

    日本、北海道の最果てといえば稚内が相場だが、実は根室の方が最果て感は強いというのが、私の意見。

 

    稚内は札幌から直通の特急電車があるが、根室は釧路から乗り換えが必要。しかも釧路から鈍行列車で2時間かかる。また、稚内には市内に空港があるが、根室中標津空港から車で3時間くらいかかる。極めて辺鄙である。

    おそらく北海道人も道東方面の網走や知床、釧路には行ったことがあっても、根室にまで足を伸ばすことは稀ではないかと思う。まさに「YOUは何しに根室へ」となる。

 

    そんな思いを証明するかのように、武将ヲタクの長谷川ヨシテル著「ヘンテコ城めぐり」で、日本百名城である「ヲンネモトチャシ」という、根室にあるアイヌ人が造った城を、「日本百名城中最難関の城だが、その代わり行った自慢度は最強のレベル5である」と評価している。

 

    日本百名城の選考者も、こんな辺鄙な北海道の最果てをわざわざ選ばなくてもいいのに、と北海道人ですら悲しく思うのだから、百名城制覇を目指す人へのイジメとしか考えられない。というか、日本史上、アイヌ人が造った砦も取り上げないと、その筋の人々からクレームが来るとしてバランスを取ったとしか思えない。

 

   そんなとても遠い根室に私が訪れたのは、まだソ連が崩壊する前の昭和末期の頃。

    せっかく根室に来たからと日本の最東端、野寒布岬に行った。

 

    岬にはオーロラタワーという展望台があり、そこの双眼鏡から北方領土方向を覗くと、日本に一番近い北方領土の島、貝殻島灯台が見えた。納沙布岬から3.7kmというから、目と鼻の先である。おーあれが歯舞諸島の一部かと感動した。      日本に居ながらにしてリアルに外国を見られるのは滅多にないから、何だか胸が熱くなった。しかもご丁寧にソ連の巡視艇が島の近くにゆらゆらと浮かんでいるではないか。

 

    あの頃のソ連はバリバリ共産国家で、アメリカとは冷戦状態。よく日本のカニ漁の漁船がソ連の領海侵犯をして、拿捕されていた。地元の漁師に言わせると、ソ連領海内にはごっついカニがうじゃうじゃいて取り放題。危険を犯してでも取らにゃ損というのを聞いたことがある。

 

    しかし、当時のソ連は、まさに「オラオラちょっとでも入ってみろ。ぶっ殺すぞ」とヤクザまがいの恐ろしい雰囲気を国家全体で醸し出していたから、巡視艇を視た私も途端に身震いをした。

 

   逆に今のロシアはソ連と比べたら、緩いあんちゃんにしか見えないし、全然怖くない。プーチン大統領も、レーニンスターリンと比べたら大人と子供くらいの差に思えてしまう。一触即発の冷戦の緊張感は、もう二度とないだろう。

 

   だから当時は北方領土は絶対に返ってくることはないと思っていたし、決して取り戻せないアンタッチャブルな土地なのだと諦めの気持ちだった。

 

    しかし今のロシアなら、何となく北方領土を還してくれそうな気持ちになるのは、私だけではないと思う。プーチンをひたすら歓待してベロベロに酔わせて拝み倒せば、どさくさ紛れで「ダー」と言ってくれそうな期待と妄想をしている。 

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諸悪の根元は人間の弱さである