今日の漢字517は「込」。ファクトを捉え、思い込みを修正しよう
今日の漢字は「込」。仕込み、税込み、振り込み。
事実をきちんと見ることで、思い込みを修正し上書きする。名著「ファクトフルネス」の第2弾、ネガティブ本能について。
ちなみに1回目はこちら
早速質問。次のうち、あなたの考えに近いものはどれか。
A.世界はどんどん良くなっている
B.世界はどんどん悪くなっている
C.世界は良くも悪くもない
これに対し、Bと答えた人。日本60%、フランス70%、トルコ80%。最低のロシアで55%
正解はA。世界がどんどん悪くなっているというのは、とんでもない勘違い。
それを裏付ける問題。世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は過去20年でどう変わったでしょう。
A.約2倍になった
B.あまり変わっていない
C.約半分になった
答えはC。日本の正解率10%。最も高いスウェーデンですら25%。
あるデータによると、世界の極度貧困率は1800年から一貫して減り続けている。
1997年インドと中国は人口の42%が極度の貧困であったが、2017年までにインドは12%、中国は0.7%に低下。世界全体でも1800年の85%から2017年は9%まで低下している。
貧困度合いは確実に減っている。
次の問題。世界の平均寿命は何歳でしょう。
A50歳
B60歳
C70歳
答えはC。世界の平均寿命は72歳。日本の正解率28%。これでもチンパンジー(33%)より低い。
ファクトに対し、相変わらず回答者の思いはネガティブな方に振れている。
世界がどんどん悪くなっている思考から抜け出せないのは、ネガティブ本能にある。
ネガティブ本能を刺激する要素は3つ
・あやふやな過去の記憶
・ジャーナリストや活動家の偏った報道
・状況がまだ悪い時に、「以前に比べたら良くなっている」と言いずらい雰囲気
「昔は良かった」と高齢者は言うが、今と比べて良かったわけではない。むしろほとんどの面で昔は今より悪い世の中だった。昔がどうだったか、正確に覚えている人はいない。
特にネガティブ報道の影響は大きい。世界はいつも悪いニュースのオンパレード。逆にゆっくりとした進歩が報道されることはない。暮らしが良くなるにつれ、悪事や災いに対する監視の目も厳しくなり、それにより悪いニュースが目に付くようになり、皮肉なことに「世界は全然進歩していない」と思う人が増えた。
悪いニュースばかり目にしていれば、誰でも悲観的になる。
ネガティブ本能を抑えるには、世界の今を理解するために、「悪い」と「良くなっている」が両立する見方をする。
「悪い」は現在の状態、「良くなっている」は変化の方向。2つを見分けられるようにする。
良い出来事はニュースになりにくい。悪いニュースを見たときは、同じくらい良い出来事があると考える。
ゆっくりとした進歩はニュースになりにくい。短期的な後退よりも長期的進歩に目がいくようにする。
(以上、ファクトフルネス:ハンス・ロスリングほか より)
我々は日々ネガティブな報道で知らず知らずのうちに悲観的になっている。それは新型コロナウイルスの蔓延、国の借金問題、年金問題、少子化、国力の衰退、福島原発の処理、頻発するテロ。すべてはネガティブ面が強調されているが、著書のいうように、良いニュースを積極的に探るのだ。
インターネット、スマホの普及は劇的に生活を便利にしたし、人生100年時代で長生きできる時代になった、コロナはいずれ収束するなど。
私が思いつく例で言えば、水洗トイレではないポットントイレ→水洗和式トイレ→水洗洋式トイレ→ウォシュレットと、この40年でトイレ事情は劇的に良くなった、電車では券売機で切符を買わなくていい。調べものにいちいち図書館に行かなくていい、ディーゼルカーが減って環境にいいハイブリッド車が増えたことなどなど。
このようにポジティブな話題を考えればいくらでも出てくるが、実際これらはほとんどニュースにならない。自らがファクトを冷静に見つめ、ポジティブに「良くなっている緩やかな変化」を考える習慣を身に着けたい。