笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字513は「半」。突っ込みどころ満載の半沢直樹はやはり面白い

今日の漢字は「半」。前半、半分、折半、夜半、半島、半熟、半人前。

 

    TBS日曜ドラマ、半沢直樹は視聴率が30%を越え、久々のヒットとなった。

 

    出演者のバラエティー豊かな顔芸や、「おしまいDEATH」 のセリフなど、視聴者を飽きさせない展開に、低迷の続くテレビ業界も、アイデアによってはまだまだ元気だという存在感を見せつけられたような気がした。

 

    半沢直樹のストーリー自体は、勧善懲悪の観点から若干ご都合主義があった点は否めない。

 

  敢えて今回のドラマの突っ込みどころを振り返る。

 

白井大臣が箕部幹事長を裏切るシーン。

 

   キャスターの自分を議員にしてもらい、なおかつ進政党の顔として国土交通大臣に引き立ててくれた幹事長を、いかにクリーンな政治を目指すからと裏切ることはあり得ない。ましてや幹事長のカネの問題を暴くために、いち銀行の申し出に協力することもあり得ない。

    白井自身、箕部のマリオットであることに忸怩たる思いを持ちながらも、大臣という美味しい職を投げ打ってまでも箕部の不正を暴いたところで、得になることは何もない。政治はそんな理想論では進まないことは、政治家が誰も責任を取らないモリカケ桜を見る会問題で明らかである。

 

   箕部幹事長が自分の悪事を半沢直樹に暴かれ、謝罪するシーン。

 

    土下座も謝罪もあり得ない。リアル政治家がその立場なら、開口一番「カネの管理は全て秘書に任せてあるから、私は存じ上げない」と、秘書に責任を擦り付けて逃げるのが常套手段。そこで謝れば罪を認めたことになり、あとあとの検察の調査に大きな影響が出るから、リアル政治家は無言で退席するだろう。過去カネで捕まった現職議員が公衆やマスコミの面前で謝ったシーンを私は見たことがないというのがその根拠である。

 

    それくらい、議員が本気で国民のために謝罪することなどないと言える。

 

    東京中央銀行の債権放棄の問題について。

   

   知人の会社は、監督官庁の役所には決して逆らえないと言っていた。それくらい許認可の絶大な権限を持つ省庁に楯突くと、後々大変なことになることを、歴代の担当者から延々と引き継いできているのだ。

 

    だから東京中央銀行の債権放棄も、絶対に役所には逆らえない問題。ただし、今回は本来の監督官庁でない国土交通省だから、債権放棄の拒否というストーリーもあながち無いわけではないが、これが金融庁からの要請となると事は厄介であり、半沢直樹も大きく揺れることであろう。

 

    本来は白井大臣が債権放棄を要請した段階で、銀行を潰せない金融庁は当然反発しただろう。そこは省庁間の駆け引きとなるが、事は複雑となるからストーリーにはない。しかし見ている分には、役所=悪、銀行=善の構造が、水戸黄門を見ているようで痛快であった。象徴的なのは、筒井道隆演じる乃原弁護士。悪代官そのものの風体での半沢直樹との対決は、半沢VS大和田常務のやり取りのセカンドバージョンとして楽しんでいた視聴者もいたのではあるまいか。

 

    半沢直樹の銀行員像や、脚本自体が少し現実離れしているという批判もあるが、これだけ視聴率がいいということは、政治とカネの不信感が国民の間に根強くあり、その不正を一人のサラリーマンが暴くという単純さと痛快さ、さらには「やられたらやり返す」「感謝と恩返し」という武士道と浪花節のような姿が、半沢人気を支える根っこにあるような気がする。

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立って半畳、寝て一畳