今日の漢字501は「事」。事実をしっかり見て事の本質を捉える
今日の漢字501は「事」。事件、事故、満州事変、刑事、仕事、食事、一大事。
ファクトフルネスを読んだ。言わずと知れたベストセラー本。普段はほとんどベストセラーは読まないのだが、ある人からおもしろいと紹介されて読んでみたら、目からうろこの連続だった。
結論は、多くの人が思い込みで事実を捉えていて、いわば知識がアップデートされていないということ。なぜそう言えるかと言えは、著者がさまざまな時事問題を出すのに、3択での正解率は確率に基づくチンパンジーの33%よりも低いという衝撃の事実があったから。
間違った思い込みをやめ、ファクトを的確につかむというファクトフルネスの習慣を積み、事実に基づく世界をしっかり見ろと警鐘を鳴らす。さまざまな例が示されているが、そのひとつを紹介したい。
Q問題:世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう。
1.低所得国
2.中所得国
3.高所得国
正解は中所得国。
大半の人は低所得ではなく、中所得で暮らしている。
日本人の正解率は24%。最も高い韓国でも40%そこそこだ。
まだ多くの人が、大半は低所得が最も多いと信じている。
それはなぜか。
未だに途上国と先進国を使い続けているから。
世界のグループを二つに分けるのではなく、所得レベルに応じて4つに分けると事実が見えてくる。
そうすると、
レベル1(ひとりあたりの1日あたりの所得が2ドル以下)・・10億人
レベル2(同2~8ドル)・・30億人
レベル3(同8~32ドル)・・20億人
レベル4(同32ドル以上)・・10億人
事実に基づく世界の見方を変えると、低所得国が多数を占める事実はどこにも無い。
これを間違って認識させている根本は「分断本能」。いわゆる二項対立。金持ちか貧乏か。良いか悪いか。正義か悪か、与党か野党か、勝ち組か負け組か。
世界をシンプルに分けるのは、簡単に理解できてしかも直感的だから。いつの間にか我々は世界を二つに分けてしまっている。
実際には分断がないのに分断があると思い込んだり、違いがないのに違いがあると思い込んだり、対立がないのに対立があると思い込む。すべては気づかないうちに世界を二つに分ける分断本能のなせる業なのだ。
ジャーナリストも人間の分断本能に訴えたがる。だから話を組み立てる際は、対立する二人、二つの組織、二つの考え方、二つのグループを強調する。反対か賛成かがわかりやすい。「どちらでもない」の中間層は無視される。日本は昔中流階級が多かったが、今や貧富の差が激しくなって富裕層と貧困層に分かれるというが、本当だろうか。事実は違って未だに中間層が多いのではなかろうか。しかしそれは報道されない。
多くの場合、実際には分断ではなく、誰もいないと思われる中間部分に大半の人がいる。
分断本能を見分けるポイントは、大半の人がどこにいるかを探す。
ひとつは「平均の比較」。分布を見ると2つのグループが重なり合うことがあり、分断などないことが多い。
「極端な数字の比較」。最上位と最下位を比較するのではなく、多くの場合、その中間の上でも下でもない場合がある。
「上からの景色」。高いところから低いところを見てもよくわからない。生活レベル4の人が生活レベル1、2、3の景色を見ても、みな同じに見える。いわば上から目線で分断していないかの意識が大事なのだ。
ファクトフルネスには、他にも目からうろこの分析があるの で、いつかまた紹介したい。