今日の漢字491は「解」。グループやバンドの解散について考える
今日の漢字は「解」。解答、正解、分解、解剖、解説、図解、誤解、了解、理解、解毒。
随分前のことになるが、札幌にヤマハスタジオという、少人数のライブができる空間と、バンド練習ができるスタジオがあった。
たまたまそこで知人がバンド仲間とビートルズの曲を中心にライブをやるというので、見に行った。観客は30人ほど。
ほとんどがバンド仲間の身内で、素人だからそんなもんかと、始まる前にトイレに行くと、女子トイレ前で女子二人が会話していた。聞くともなく聞き耳を立てると、「さっき練習スタジオに入っていくZONEを見たよ」。「えーZONEが。ウソーこっちにいるんだ」との会話がなされていた。
そうか、ZONEが札幌にいるのかと、同じ建物の中でアイドルバンドが空間を共有していることに少し緊張した。
ZONEは2001年にデビューした札幌出身のアイドルバンド。活動期間は4年と短かかったが、全国放送の歌番組にも出演するなど、それなりに人気もあった。15枚のシングルをリリースし解散、あっという間に普通の女の子に戻ったのだ。
トイレの前で女子の会話が交わされていた頃は、まさにZONEが芸能活動を展開中で、おそらく演奏の練習に来ていたのだろう。
大概、バンドなどのグループは、人気が下火になると人知れず解散ということがよくある。
解散には二つパターンがあると考えられ、ひとつは曲が売れずに次第に人気が無くなり、ここが潮時と解散するパターン。これがほとんどのパターンである。
もうひとつはメンバー同士の内紛や独立思考の強いメンバーの脱退で解散するケース。ビートルズやスマップ、古くは杉山清貴とオメガトライブなどがこのパターン。ZONEは前者のパターンと考えられる。
概ね解散間際のグループの最後のリリース曲はほとんど人々の記憶に残らない。
一部の熱狂的なファンは「これが聴き納めの曲」として感傷に浸るのだろうが、既に人気が下火なのでチャートの順位も低く、インパクトがない。デビューした直後などに爆発的に売れた曲は何年経ってもカラオケで歌われるが、解散近くの晩年の曲はほとんど歌われず人気もない、と個人的に思う。
ただし、唯一の例外がキャンディーズ。
普通の女の子に戻りたいと、人気絶頂期に解散。その表明にファンは悲嘆にくれ、後楽園球場での解散コンサートは大盛況。歴史に残るフィナーレであった。
人気が下降したのちに解散したピンクレディと対極をなす終わり方であった。
特にラストシングル「微笑み返し」は、いまでも多くの女性に歌われる昭和の名曲となった。グループ最後の曲が最も有名な代表作というのも珍しい。それだけ人気絶頂期に解散するというのは稀だし、人々の記憶にいつまでも残り続けるのだと思う。
ちなみに私はZONEのファンでもないから、解散時の曲が何だったかは知らない。唯一、最も売れたサードシングル「Secret bace君がくれたもの」は記憶に残っていて、いまでも「カウントダウンTV」で過去のランキング曲として登場する。それくらいである。
サザンオールスターズのように息の長い活動が理想ではあるが、一時期でもメジャーとなって日本の男女を熱狂させた記憶が色褪せるものではない。やはり惜しまれながらの解散というのがバンド冥利に尽きるのだろう。