笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字464は「周」。私の周りで起こる定年退職から、高齢者の働く未来を考える

今日の漢字は「周」。周遊、周辺、円周、周囲、周期、周知、用意周到、西周

 

     私の周りでも定年退職者が増えてきた。

 

     というか、身近な友人知人が定年を迎える時期となってきた。私自身もアラカン。年齢的には当然である。

 

    また、中には定年を待たずに会社を退職する人もぽつぽつと出てきはじめてきた。

 

    親の介護や自らの持病、やりたいことがあるからと辞める人、はたまた「会社勤めはもういい」として、警備会社やトラックの運転手になるなど会社組織に縛られずに生きる人、それぞれである。

 

    親の介護とは表向きの理由で、勤務している職場の人間関係に疲れ果てて、嫌になって辞める人もいる。

 

    定年に近づくと、役職もそれ以上は望めず、また自分の仕事の成長に陰りが見え始めると、途端にモチベーションが下がり、居場所が無くなるという現実もある。

 

     知人の会社にいる中高年の役職定年となった人たちは、とにかくやる気が感じられないという。ほとんどたいした仕事も任されていないので、窓際の空気が澱んでいるそうだ。

 

     55歳、60歳の定年時代は、まだ役が付いたまま定年を迎え、最後は花束を渡されてご苦労さんとの声とともに見送られた。今は60歳で定年しても年金は当たらないから、65歳まで再雇用で働くか、転職か出向するしかない。最後の5年の再雇用期間は給料も大きく減らされ、モチベーションの低いまま過ごし、雇用期間満了まで我慢して働き、最期は静かに去っていく。

 

    私の会社も、昔は60歳の定年退職者には花束が贈られ、送別会も盛大に催されて、最期は皆でお見送りしたものだが、いまやそんなシーンは全くみかけなくなった。65歳まで再雇用で淡々と働いて、雇用満了の最期の期間は休暇の消化にあて、最終日には挨拶もそこそこに去っていく人もいる。

 

     このようなシーンの変貌は、全ては年金行政のツケにより、企業側は仕方なく高齢者雇用をしている構図による。年金制度自体が、人が増え続ける高度成長期に編み出された手法である以上、60歳から支給するのは、どだい無理な運用。今の若い世代が中高年になる頃には、年金は70、75歳支給が当たり前となるであろう。

 

     70歳、75歳までの雇用を義務づけられる会社もたまったものではない。社内は年金支給まで「仕方なく」働くやる気のない、いわば二軍の高齢社員で占められ、職場の空気はよどむ一方である。人件費も確実に上がる。若手も高齢社員を見つつ「将来俺もああなるのか」と思えば、一気にやる気がなくなるか、転職活動に精を出すはめになるであろう。

 

     経営者としては、社員は若い方がいいから、本来的には高齢社員には辞めてもらい、新陳代謝を図ることを考える。余裕のある会社は退職金を積み増しして、早期退職を促す場合もあるだろう。利益を削ってでも生産性の上がらない高齢社員の首を切り、生産性向上の見込まれる、将来有望な若手を採用、登用していくことになる。

 

     知人の会社は、部長クラスの役職者は、役職定年となってヒラで残るのではなく、関係会社への転籍という形をとる。しかしこのコロナ不況で関係会社も部長クラスを受け入れるだけの余裕がなく、全く人事が滞っているという。しかも以前は55歳くらいで子会社に転籍し、そこで60歳の定年を迎え、本社の後任に次の席を譲るという異動が可能であったが、今や子会社の部長も65歳までは居残るから、本社からの転籍異動ができない。先がつまるから、やむを得ず部部長、部長補佐、部長代理とわけのわからない役職だらけだと嘆いていた。

 

    65歳までの労働環境ですらこの現状であれば、70、75歳までの再雇用だと、一体どうなってしまうのか。企業の活力はどんどん失われていく。ひょっとしたら出世のペースが物凄く遅くなり、50代でようやく課長、60代になって初めて部長、役員は70歳という時代もくるのではないか。そんな出世の階段の遠さに、若い社員たちは一体何を思うだろうか。

 

     再雇用の問題は、今まで経験してきたことや積み上げてきたことが一旦リセットされ、若手社員並みの雑務レベルに落とされることも一因。特に管理職として部下を管理してきた人が、「同じ組織の中で一兵卒になれ」と言われても簡単にシフトチェンジはできない。そのような人は、会社で生殺しに合うよりは、環境を変えて全く別の会社に行ったほうがマシと考えるだろう。

 

    そのように動く人が増えていけば、60歳以上の労働者を新規に採用し、戦力化させる市場が活性化しそうな予感もある。世の中は若手も含めどの業界も労働者不足。少しでも戦力になる者と考えると、当然のことながら高齢労働者に白羽の矢が立つ。しかも彼らはお金にはそれほどガツガツしていないから、経営者がうまく彼らのモチベーションを引き出し、働き甲斐を持つように誘導し業務を任せていけば、同じ会社の再雇用で腐って仕事をするよりも、環境変化で大いに活躍する可能性がある。

 

    高齢労働者をうまく社会参加させ、若手に劣らない労働力として生産性を高める会社となれば、その会社や経営者は今後大いに評価されていくような気がする。

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ラソンの最後はスタジアムを1周