笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字444は「慶」。中国の都市、重慶について考える

今日の漢字は「慶」。慶応、春慶、慶事、大慶、慶弔。

 

     日本の老朽化した石炭火力発電所を順次廃止していく意向を経済産業省は示しているが、それで思い出すのは、20年前に仕事で重慶に行った時のこと。

 

     四川省の釜といわれるぐらい、夏は盆地特有で猛暑になるようだが、私が重慶に行ったのは冬だったので、幸い過ごしやすい気候で助かった。

 

    四川料理はとにかく辛い。何を食べても辛い。だから麻婆豆腐は少し甘くしてもらって食べたが、一緒にいた中国人パートナーは、鼻で笑うような仕草であった。暑いところだからこそ辛いものを食べるというのは、人間の性なのだろうか。

 

     それはさておき、冬なのにスモッグがひどい。太陽が煌々と照ることはなく、市内を薄く覆う雲が太陽の光を遮り、射光はほのかな感じ。そのスモッグの原因は石炭。ひとつは食堂の厨房。2000年頃の話だが、中華料理屋は料理の熱源が石炭であった。厨房の中を見せてもらったが、中華鍋の下には七輪のような台の中に石炭が赤々と燃えていた。イメージはバーベキューの木炭が石炭に変わったイメージか。火力の調整が大変だろうなと思ったが、石炭が赤々と燃えている部分を見せられると、なんだか旨い中華料理が出てきそうな気がした。

 

    あとは郊外にある石炭火力発電所。たまたま近くを通りかかった時に見かけたが、モクモクと灰色の煙を煙突から排出していた。さすがに今は環境対策がされているだろうが、当時はまだ地球温暖化など本格的に議論される前のこと。

 

    当時(と言っても今もそうだが)中国のエネルギーを支えるのが石炭であるがゆえ、排出されたガスが大気中で滞り、薄い膜となって町を覆いつくす。

  たまたま公園に行って、そこにあった樹木を指でこすってみると、手に黒い煤がついた。それくらい石炭の灰がバラまかれているのだ。

 

    特徴的だったのは、重慶市を歩く若い女性で、みな色白であったこと。現地の人に聞くと、案の定、1年を通じて直射日光が当たることが少なく、紫外線が遮断されるので、色白になるとのこと。

    緯度の高い北海道人も色白が多いと言われるが、緯度的に重慶市は北緯29度であるから、北緯26度の沖縄のやや北。相当太陽の光は強いはずだが、やはりスモッグの影響でここまで色白になるのかとびっくりした。或いは海で泳いだり甲羅干しをするという習慣がないことにもよるだろうが、何だか不思議だった。

 

     日本エネルギー経済研究所のレポートによると、中国の石炭火力の発電は今でも全体の約7割を占める。世界の石炭生産も約半分が中国と、石炭の一大産出国という。今なお石炭に頼る中国のエネルギーの実情を知るにつけ、20年前に訪れた重慶は今も変わっていないのではないかと想像する。

 

    日本がいくら石炭火力を廃止して地球温暖化 に歯止めをかけようと躍起になったとしても、隣国がこのような状態では、焼け石に水と思うのは私だけだろうか。

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慶応大学のブランド力は凄いと思う