今日の漢字440は「較」。人と比較する人生について考える
今日の漢字は「較」。この字は比較と較べるくらいでしか用法はない。
50歳を過ぎたら、格差が開きやすい年代である。
同期入社の同僚が、部長や役員に昇りつめる人もいれば、課長職、部下のいない担当部長、担当課長、係長、或いはヒラのままなど、肩書きで言えば露骨に差がでてくる時代である。
勝ち組と負け組が明確になる。
一旦優劣がついた中では、逆転の人生はまずない。
負け組は会社人生に見切りをつけ、第二の人生を考えた方が良い。
そういう意味では50代は他人と争い、比較する世界から卒業する世代。先が見えたならば、勝ち負けにこだわらない生き方を考える。
特に終身雇用で就職ならぬ就社した人々は、出向や独立起業する人を除き、勤めた会社以外の会社で働くことはまずない。だんだん居場所がなくなるという現実にも直面する。
発想を変えるためには人は人、自分は自分と割り切る。
勝ち負けから抜け出す秘訣は、自分が何をするかの目標を立てる。自分だけの自分らしいステージを持つことが大事だ。
50代は会社に滅私奉公、残業もいとわず家族のために働いてきたモーレツ世代。もうこのあたりで息抜きをして後半に臨むための充電期間という捉え方もできる。
いつまでも人と比べるのではなく、自分自身と競争する。
今の自分は人生で一番若い。昨日の自分より間違いなく成長しているという思いで望めばまだまだ成長する余地はあるし、もっと勉強して明日は今日よりもっといい日にしようとポジティブな気持ちになる。
百田尚樹氏はいつまでも人と比べる傾向に警鐘を鳴らす。(鋼のメンタル)
自分の幸せは自分で決める。他人の人生を自分の幸福の物差しにしない。
常に自分と他人を比べている以上、一生本当の幸福感を味わうことはない。
これまで会社人生で、肩書きや地位などで比較してきたサラリーマンたちは、50代になってようやく、明らかに差がつく現実を目の当たりにして、比較人生に気づく。そこで「何であいつが」とか「なぜここで終わるのか」と物差しをそこだけに置くと、その後の人生が空しいものになる。人生の選択肢は無限にあり、社会的な成功以外にもいろいろな選択、優先順位がある。それに早く気づき、早いうちから行動する人はその後の人生を充実したものにする。
失敗や挫折が多かった人や、苦しみや悩みが深かった人ほど、小さな幸せにも感謝するようになる。
と、述べている。
大病を経験したA氏は、その後の見る風景や人生観が変わったとして、ご飯が食べられること、朝起きられること、さらに翌朝生きていられることに感謝するようになったという。
肩書きという虎の威を借りて仕事をしてきた人にとって、定年で失うものが大きすぎて、気力も失う。
幸福感は自分の外の世界にあるわけではなく、自分の心の中にある。比較をして劣っていることに落ち込んでがっかりするのではなく、分相応に、その人らしく生きられることが本当の幸せの極致である。