笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字427は「芳」。北海道コンサドーレ札幌社長の野々村芳和氏について考える

今日の漢字は「芳」。芳香、芳醇、ご芳名、ご芳志。芳(かんば)しい香り、芳根京子柏原芳恵

 

    Jリーグもいよいよ再開。我らが愛する北海道コンサドーレ札幌の社長は野々村芳和。元サッカー選手である。

    Jリーグは多くの企業が大手企業の子会社というチームが多く、たいがいJリーグチームの社長は親会社からの天下りが多い。そういう風潮にあって元Jリーガーの社長は珍しい。

 

    もっともコンサドーレは典型的なエレベーターチームでJ2カテゴリーの方が在籍期間が長い。大きな親会社を持たないため常に資金的に苦しい台所事情があり、J2ではそこそこ勝てても、J1では歯が立たないという力の差を感じる時代が長く続いた。Jリーグチーム唯一の4度の降格経験、2012年は史上最速でのJ2降格など、不名誉な負の記録ばかりが目につくていたらくであった。野々村社長が就任する前はサッカーに興味のない新聞社からの天下り社長の経営であり、うまくいくはずがないという状況であった。

 

    そんななか、J2に降格したシーズンの翌年2013年に野々村氏は社長に就任。クラブOB初の社長となった。選手としての野々村氏はジェフフナイテッド市原から2000年にコンサドーレに移籍、2001年に現役を引退し、主に北海道でサッカー解説者として活躍していた。当時低迷していたチームに突然社長就任の話があり、悩んだ末に決断したという経緯がある。

 

    社長就任会見で「札幌をバルサにする」と大胆な所信表明をした野々村は、スローガンを「北海道とともに世界へ」に決定。コンサドーレは200万都市にあり、地元には熱狂的なサポーターがいる。さらに北海道では他に競合するチームが少ないため、500万道民のハートを掴めばビッククラブになれるポテンシャルがある。世界一の人気を誇り、下部組織の充実、ソシオ制度の市民チーム、そしてワールドクラスの選手を擁し子供に夢を与えるバルセロナを引き合いに出し、大きな目標を設定した。その構想は大胆ではあるが、サポーターを熱くし、現場を強くし、選手の意識改革をし、そしてクラブを成長させる。その気概を前面に出した船出であった。

 

    そしてその構想が実現するかのように、J2を勝ち抜き2017年にJ1昇格、残留を果たすと2018年にミシャを監督に招聘し、J1定着。さらに世界を狙うべく、今はアジアチャンピオンズリーグ出場を目標に掲げる。

 

    私は1998年のJリーグ参入初年度からコアファンで、かれこれ25年以上応援している。J1に上がっては落ち、上がっては落ちで、期待と失望の繰り返しのふがいないチームをみてきただけに、ある意味不幸なサポーターだと思ってきた。

    2017年昇格時も、また降格かとハラハラドキドキの1年間を過ごし、残留できた時はほっとしたし、昨年ルヴァン杯決勝という大舞台も夢を見させてもらった。コンサドーレがクラブとして着々と力をつけていることは、野々村社長の経営手腕、選手をやる気にさせる人心掌握と、タイの英雄チャナティップの獲得など先行投資のアグレッシブな経営によるもの。さまざまなアイデアでチームとクラブを強くしようという経営は、サラリーマン社長にはない大胆さがあるし、サッカー愛を感じる。まさに世界を見据えた戦略が、チーム、選手、サポーター一体となってうまく機能している。

   鹿島や横浜Fマリノスのように歴史と伝統のある老舗チームからはかなり周回遅れの田舎チームではあるが、コンサドーレがいつの日かアジアの舞台に立てる日を楽しみにしているし、野々村社長であればそれが実現しそうな気がする。黒歴史を遠い過去のものへと追いやり、今のコンサドーレサポーターは一番幸せな時を過ごしているのではないかと思う。

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ワインと日本酒には芳醇な香りという言葉がピッタリ