笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字422は「脇」。映画やドラマの脇役について考える

今日の漢字は「脇」。脇腹、脇の下、脇道、脇見運転。

 

    映画、ドラマ、舞台は多くの役者が出演。そのなかで主役はただ一人。男女のダブル出演だったとしても二人。それ以外は全員が脇役。しかし脇役がいなければ、作品は成り立たない。映画のエンドロールで名前が出るのは常に3番手以降。主役とまではいかないが、脇を固めることで存在感を増す俳優は多い。そんな影でキラリと光る脇役を考えてみた。


    いぶし銀と呼ぶに相応しいのは昭和のプレイボーイ火野正平。BSの自転車旅番組ですっかりイメージチェンジしつつあるが、彼は歳をとっても格好いい。彼が子役から芸歴をスタートさせたとは信じがたいが、芸能界の重鎮としての存在感は一級品。最近ウイスキーのコマーシャルでも、いい父親役を演じている。年齢的にはおじいちゃん世代ではあるが、祖父役というのは全く似合わないアクティブなおやじをみてみたい。


    高齢者の代表は、先日惜しくも他界してしまった志賀廣太郎。ちょっとエッチでやんちゃなおじいちゃん役がはまっていた。3匹のおっさんは見ていないが、多部未華子主演映画「あやしい彼女」では、多部が若返る前の倍賞美津子の恋人役の演技が光っていた。年配の役者としては貴重な存在であっただけに、スクリーンでもう少し味わいの深い演技を見てみたかった。


   50代では古館寛治。それほど存在感はないが、どんな役でもできる。新聞社編集長(友罪)、演奏家(マエストロ)、釣りおじさん(勝手にふるえてろ)、フリーターのおっさん(コタキ兄弟と四苦八苦)と、私がたまたま見る映画やドラマになぜか古館寛治がよく出てくる。2枚目半の演技に安定感があるマルチ俳優であり、作品の中では無くてはならないピリリと辛い山椒的存在でもある。NHK大河ドラマ「いだてん」での出演を機に知名度も上がり、多くのオファーが来ているのではないか。

 

   40代では野間口徹。NHKmの朝ドラ「エール」でレギュラー出演しており、知名度アップ中。彼も癖がなく、どんな役もこなせるユーティリティプレイヤー。父親、店員、棋士、医者など、もの凄く印象に残っているわけではないが、地味にうまい。何の予備情報もなく映画を見ていてスクリーンに野間口徹が出てくると、なんだかうれしい。神経質そうな役や気弱そうな役はピッタリ。需要の少ないニッチな配役に彼はうってつけである。

 

    最後は癖のある脇役代表格のリリー・フランキー。とにかく怪しい。裏社会に住む住民としての演技は天下一品。逆に探偵役などもきっちりとはまっている。普通の父親役は似合わない印象だが、「そして父になる」では、真面目な福山雅治とは対照的な人情味の熱い父親を演じるなど、以外と引き出しは多い。飄々としているところも逆にインパクトがあり、下手にいい役がきてしまうと、主役を食いかねない怖れをもつ、準主役級の脇役といえる。

 

    このように決して派手でもなく、主役と違って強いインパクトを残すものではないが、そういう多くの脇役の存在があって初めて主役は輝く。青春もののように、パット出のアイドルが主役となってたどたどしい演技をしたとしても、脇役のベテラン俳優陣がきっちりと演技をすることで、作品全体を引き締め、見るに耐える作品に仕上げている。


    映画やドラマを脇役中心で見てみるというのも、一風変わっていておもしろいかもしれないし、これはと思う脇役を追っかけるというのも、違った目線で作品を見るきっかけになるかもしれない。

  脇役女優編もいつか取り上げてみたい。
   

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脇目もふらずにまい進したいものだ