笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字421は「能」。才能=タレントについて考える


今日の漢字は「能」。能力、才能、効能、可能、万能、芸能、無能、能年玲奈

 

    才能は、英訳すると、タレント。
    日本人がタレントという言葉を使う場合は、才能よりも、芸能人を指す。


    さて私が某タレントを見たのは、20年前、とあるスタジオでの番組収録だった。広告代理店に勤める知人にスタジオ見学を申し込んだところ快諾を得て、関係者として潜り込ませてもらった。

    具体的番組名や、出演するタレントは、今でもその番組がまだ続いているので、情報開示できないが、今も活躍する、知名度のあるタレントと局アナとの掛け合いで進行するバラエティー番組。


    スタジオは一般公開されておらず、関係者だけが集まって比較的静かに進むという雰囲気であった。

    ひとつだけ印象的だったのは、番組プロデューサー氏が番組スタッフの中でひとり威光を放っていた反面、卑屈なほどにタレントに気を使っていたこと。タレントの受けないギャグに大声を出して笑い、貴方のギャグは面白いと、回りのスタッフにも笑えと強制するかのような威圧感を放つ。当然笑い声は番組の中で録画されるからお茶の間にも届くのだろう。敢えてそういう笑い声が入るように仕向け、番組が盛り上がっていることを視聴者に見せようという魂胆がみえみえである。

     当のタレントも寒いギャグに内心受けていないのがわかっているのか、顔が笑っていない。プロデューサー氏がタレントにやたらと気を使う構図が、芸能界の裏側の嫌らしい部分を見せられたような気がした。改めてテレビはプロデユーサーやスタッフで成り立つのではく、タレントの威光、人気で成り立つのだとその時に知った。それはすなわち視聴率の稼げる芸能人が重宝されるというメディア界特有な事情を反映している。

    収録現場では、カメラマン、ADが数人、他にも何の仕事かわからないが多くのスタッフが働いていた。そうしたスタッフはあくまで裏方。その誰ひとりとしてテレビに映ることはない。

    番組制作の苦労は現場の人にしかわからないし、それを視聴者に見せる必要も全くない。一人の有名タレントが多くの裏方さんに仕事を与え、喰わせてやっているのだと思わざるを得ないようなヒエラルキーを感じた。

    一方のタレントにしてみれば、視聴率が悪ければ、いつ番組打ちきりになるかわからないという不安もあるだろう。寒いギャグを連発しながらも、彼は彼なりに「俺のギャグに笑え」と視聴者に必死に訴えかけているのだ。

 

   結果がすべてのテレビ番組においては、低視聴率ならスポンサーが離れ番組が打ち切られる。そういう意味ではテレビ番組を作る側の世界も弱肉強食の激しい世界なのかもしれない。

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残念ながら能を見たことはない