笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字414は「右」。座右の銘について考える

今日の漢字は「右」。右手、右派、右翼、左右、右寄り、片山右京

 

    右を使う有名な言葉に座右の銘がある。

    座右の銘は と聞かれて即座に答えられる人は、知性と教養を感じさせる。ただ、あまり難しいことを答えると、場が白けるし、教養をひけらかしすぎと嫌われる。かといって簡単な金言だと知性を疑われ、チョイスに難しい。質問してきた相手が誰なのか、TPOで答えられるくらい引き出しがあれば良いのだが、そんな言葉の在庫もない。

 

    私の勤めている会社のある役員が新聞社のインタビューを受け、同席したことがあるが、その役員は記者から座右の銘を聞かれ、「一燈照偶。万燈遍照」と答えた。

 

    記者が「それは誰の言葉ですか」と更に質問を加えると、その役員は安岡正篤と事もなげに答えた。

    私はこの時、さらりとその言葉が出てくることに感動を覚え、この言葉をその場でメモしていた。だからその時のやりとりのシーンが今でも蘇る。

 

    自分が居るその場を照らす。最初は一隅を照らすような小さな灯火が十、百、万となれば、国中を明るく照らすことになる。

   元々は最澄の「一燈照偶万燈照国」をアレンジしたものと言われている。

 

    一人のほんの小さな行動が回りに影響を及ぼし、大きなうねりとなって、社会や国を変えたり、社会全体を元気にしていく。だからまず自分から行動を起こせということを安岡先生は言う。

 

   それで思い出すのは、「保育園落ちた、日本死ね」のツィートが拡散、大きな社会問題となり、国会でも大きく取り上げられ、国の制度改革につなげたケース。たった一燈のツィートが万燈になって遍照し、問題意識を提起。国を動かすまでに至った。

 

    インターネットが登場する以前は一人が声を上げても、まともに届くことのなかった声が、インターネットやSNSという手段により、広く遍くかつ素早く多くの人に情報が届くようになった。批判にしても肯定にしても、共感する人、同調する人を次々に竜巻のように飲み込んで、巨大かした情報が拡散するというトレンドがある。

 

    ネットではなく、リアルに行動して世界を動かすのはスウェーデンの環境活動家グレタさん。学校ストライキの活動から始まり、地球温暖化対策の不備に警鐘を鳴らす彼女の活動は、世界を変えようとしている。たった一人の女子高校生の活動が世界を動かすなど、だれが想像したか。これもネットによる情報拡散の影響が大きい。

 

     ひとり一人の行動自体は生身の人間であるから限界があるが、SNSやユーチューブで呼びかけ、問いかけ、提言し、意見を募り、自らの行動を晒し、自らの思いを「情報発信」という手段で多くの人に伝えることができるのは、素晴らしいことである。

     安岡氏が強調した「一燈照偶。万燈遍照」は今後SNSという文明の利器によって、ひとり一人の行動がより良い社会作りにつながっていくと信じたい。

 

    最後に私の座右の銘。難しくなく、わかりやすいモットーとして、聞かれて答えるのは「謹厳実直、篤実温厚」としている。 

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