笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字397は「滅」。世の中から消滅したものを考える

今日の漢字は「滅」。消滅、滅亡、壊滅、破滅、滅私奉公、絶滅危惧種、滅相もない、滅多にない、鬼滅の刃

 

    世の中から消滅したものについて考えてみる。

 

    新たな発明や新商品の開発、IT革命などによって淘汰されたものや、競争に敗れて市場からなくなったもので、どんなものがあったか。記憶を呼び起こして考えてみた。

 

    まずはフィルムカメラデジタルカメラの普及によって、敢えなく消滅の憂き目に。ITの進展によって主役が交代した格好である。

    フィルムカメラで写真を撮影していた時代は、ワンショットがとても貴重だった。カメラに入っているフィルムは24枚か36枚しかないため、ミスショットは致命傷。絶対に失敗は犯せないという緊張感と、ミスした時の落胆のギャップが大きかった。せっかく構造を決めても、シャッターを押す瞬間に人が入ってこようものなら、怒り心頭。頭から湯気を出す結末となった。

  フィルムカメラの衰退で、フィルムメーカーのコダックは倒産して市場から消えたが、富士フィルムは医療分野に進出して、見事業態転換を果たした。フィルム開発で培った技術を医療に応用する経営者の慧眼には恐れ入るが、逆にコダックのように成功体験にこだわりすぎると舵取りを間違えるという典型的な事例であろう。

 

    お次はポケットベル。これも携帯電話の登場で、一気に消えた。当時、上司がこれを持ち歩いていたが、飲み屋で「ピー」という音が鳴ると、公衆電話から電話するという、何とものどかな時代。

     営業マンがポケベルの電源を切って喫茶店やパチンコ屋でサボるというシーンはよく見られた。会社からポケベルを鳴らす方も、例えポケベルがつながらなくても、「まーいーか」と特に急がせることもなかった。電話がつながって当然、メールを確認するのが当然、の今の風潮は、結果的に四六時中会社に縛られていて自由がきかないのと一緒。便利になった分、機械で監視されていると同じなのかもしれない。

ポケベルが鳴らなくて」というタイトルのテレビドラマがあったが、緒方拳の不倫相手役を演じた女優裕木奈江が、嫌いな女優No1のレッテルを貼られ、人気が急降下、その後パッタリとブラウン管から消えたのを思い出す。だからポケベルの消滅と裕木奈江の人気急降下が妙にラップしている。

 

    インターネットの世界では、ネットスケープナビゲーター。インターネットを見るブラウザで、初期のウインドウズにはインターネットエクスプローラーとともに、両方搭載されていた。ネットスケープの「N」マークか、IE社の「e」マークか、どちらからもアクセスできて便利であった。

    しかし我が会社は当時、パソコンがようやく一人一台に配備された創世記で、インターネットは上司しか見られないという、今では信じられない設定がなされていた。当の上司はインターネット見放題で、窓際にいた上司たちは、部下から覗き見されないことをいいことに、就業時間中にネットサーフィンをやっていた。一時期「某上司はエッチな映像ばかり見ている」との悪い噂が飛び交っていた。そんなネットスケープナビゲーターもIE社との競争に敗れ、「N」マークのアイコンはパソコンの画面からいつしか消え、今は何事もなかったかのように「e」マークが幅を利かせている。

 

    最後にワープロワードプロセッサー。東芝ルポがワープロ業界を席巻。一人勝ちであった。会社で直筆の書類作成からワープロに移行したのが、平成5年頃。当時20人の職場にワープロは3台しかなく、奪い合い状態。3時間も一人占めをしたら怒られた。まあ手書きでの書類作成が当たり前の時代だったから、上司の手直しもそれほど厳しくなかった。

   今は何回でもパソコンで直しが利くので、上司のチェックも細かくなった気がする。今は文章を作るという観点では、完璧を期すあまり、かえって文書作成に時間がかかっているのかもしれない。

   

    様々な文明の利器の登場により、世の中は確実に良くなっていると信じたい。「昔は良かった」とオヤジたちは居酒屋で管を巻くが、それはパワハラやセクハラや個人情報保護にうるさくなく、自由に過ごせたし、今より威張れたから。

    インターネットで世界の情報が瞬時にわかる、これほど便利な時代はない。我々は、動物では人間だけがもつ、さらに進歩、進化したい、社会や生活を良くしたいという、脳に埋め込まれた飽くなき欲望に感謝すべきなのかもしれない。

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日本酒に滅法詳しい同僚がいる