笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字394は「坂」。人生の坂とは何だろうか

今日の漢字は「坂」。坂道、上り坂、急坂、オランダ坂、登坂車線、坂東太郎、坂上忍坂下門外の変坂上田村麻呂

 

    教育者で著述家の藤原和博氏の著書に「坂の上の坂」がある。その中で人生の歩みを山に例える記述がある。

 

   まずは人生をひとつの山と考えると、青年期から壮年期にかけて坂道を上に昇っていく。40代あたりでピークを迎え、50歳を過ぎると下り坂となり、定年後はひたすら下っていく。しかし現役時代から、もうひと山ふた山と別の山を持っていれば、中高年になってからも、その別の山の坂を再び昇ることができる。人生は、富士山のような独立峰ではなく、南アルプスのような連山を登山しろと説く。

 

   高度経済成長、年功序列、終身雇用の時代は、みんなで一緒に会社で過ごすこと、いわば一緒に山に昇ることが幸せにつながった。そして定年を過ぎたら、そう長くない時期にお迎えがきた。60代、70代で天寿を全うすることが普通だった。

 

   しかし今は人生100年時代。定年になってからの人生がまた長い。ということは、ひと山下る稜線が富士山の裾野のように、果てしなく長いということになる。

   皆と同じように会社生活をし、同じように定年後の生活を過ごし、「あーいい人生だった」と振り返るには、あまりにも長い残り時間がある。これからは、皆が似たような王道パターンを歩むのではなく、一人ひとりが個性豊かに自分らしく楽しむライフスタイルが主流を占めていく。人と一緒にやることが幸せにつながる時代ではない。と藤原氏は力説する。

 

豊かに生きるための彼の提言は、

・価値観の違う他者を認め、排除しない。

・自分の価値観を柔らかくし、多様な観点から物事を見る。

・現役世代のうちに、会社以外のコミュニティを早めに準備しておく。

 

    それで思い出すのは、定年後、俳句にはまり、句会に参加したA氏。新聞への投稿も頻繁に行い、新聞社から年間優秀賞を貰うこと数回。散歩をしても旅行をしても、買い物中であっても俳句のネタを考えているという。

 

   定年後、家庭裁判所の調停委員をして、離婚調停など、会社生活で培った法律の知識を生かして相談者に丁寧に対応し、社会に貢献しているB氏。

 

  サラリーマン時代から高校サッカーの審判員として活躍。審判は体力を使うため、現役時代から健康維持と体力増強に努め、定年後も審判員として獅子奮迅の活躍をするC氏。

    この人たちは、私の回りにいる緒先輩方である。彼らは、会社以外のコミュニティという山を見つけ、再び山を昇る楽しみを継続している。

    藤原氏はさらに言う。

「自分の人生の記憶が会社に勤める人々の記憶に残ることはない。しかし自分の人生は家族の記憶にしっかりと残る。会社のための人生ではなく、自分や家族のための人生だということを、世の中高年は認識すべきである」

 

    大事にすべきは家族を含めたコミュニティ。だらだらと会社人間と付き合うのではなく、捨てること、断ることの勇気を持てという。

    どうしても会社にいると、安住の地として居心地が良かったり、社内の気心合う同僚と仕事をしていれば落ち着くということもある。しかしそんな世界はいつまでも続くわけではない。会社をやめれば全てがゼロリセットされ、その瞬間に同僚たちは去っていく。その時になって慌てないよう、様々なコミュニティを現役のうちから見つけ、第二第三の山を昇ってく気概を常に持ち続ければ、より充実した人生になる。

 

  自分としては、今はその山々を見つけるべく、試行錯誤中ではあるが、そうした意識を持つことが、日々の生活への潤いや活力維持、好奇心で物事を見ることなどに役だっていると思う。藤原氏の言葉をしっかりと噛みしめて行動していきたい。

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夫婦には3つの坂がある。登り坂、下り坂、まさか