今日の漢字358
今日の漢字は「敵」。宿敵、敵対、好敵手、敵味方、敵陣、敵意、敵対、匹敵、敵前逃亡、大胆不敵、油断大敵。
三國志を熟読中であるが、曹操と劉備の戦いを見ていると、宿敵、好敵手という言葉がよく似合う。
宿敵とは、年来の敵だが、自国の領土を守りつつ、他国の領土を侵略する行為は短期間で決するわけではなく、勝ったり負けたり最終決着がつかず、永いこと戦うことになる。実力が伯仲している両者であるから、どちらに転んでもおかしくないというハラハラドキドキ感が物語中に常にある。といっても劉備には諸葛孔明という優秀な軍師がいるから、対等な関係ではないとも言えるが。
宿敵、ライバルがいる歴史や、現代で言えばスポーツ関係は盛り上がる。
昭和中期の名勝負、江夏対長嶋
昭和後期の江川対掛布には痺れた
野茂対清原、トルネードVS番長は迫力満点
長州対藤波、因縁の対決
どれも勝ったり負けたり、打ったり打たれたり、一方的でないこと、甲乙付けがたいことに、ドラマ性や人々の共感を呼ぶ。
一方的に強いと、そもそも宿敵にならない。リベンジもあれば、返り討ちもあり、お互いの火花が激しくぶつかる真剣勝負に人々は酔う。
安倍首相のように、一強で対抗馬がいないと政治的緊張や面白味に欠ける。圧倒的に他を凌駕する実力者で無敵な人間には、メルケルのように人気が極端に高いか、安倍首相のように極端に低いか評価が別れると思う。
アメリカ大統領選挙があれだけ盛り上がるのも、民主党と共和党という、組織同士が永遠のライバルであるから。2大政党が争ってきた長い歴史と、4年ごとに勝ったり負けたりで政治がガラリと変わるドラスティックさに、国民は熱狂するが、政治に参加している実感が大いに得られると思う。
ところで今のプロ野球でライバル対決は誰なのか。頭をひねっても出てこない。
菅野対筒香? 則本対中田? 全くワクワクしない。個人的意見だが、今のプロ野球が面白くないのは、ライバル対決が無いこと。絶対的エースと、不動の4番が皆小粒で、「これぞプロ野球の醍醐味」の対決がない。ちょっと前までいた大谷翔平のライバルは?田中マー君のライバルは? 誰だっけ。彼らにとっても、結局ライバルはいなかった。
手に汗を握るライバル対決を標榜できるニューヒーローの誕生を切に願うとともに、野球ならではの、個々の対決を盛りあげる工夫を野球界は考えてもらいたい。